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ラクロスが繋ぐ未来 ❝Lacrosse Makes Friends❞【第2回 ラクロスの特徴と魅力 安西渉氏】

今回は、公益社団法人日本ラクロス協会の理事兼CSO(最高戦略責任者)として日本ラクロスの長期的なブランディングを担う安西渉氏に、ラクロスの特徴やその魅力についてお話しいただいた。東京大学出身の安西氏は、現在、本学男子ラクロス部のコーチとしても活躍いただいている。

 

ラクロスの特徴と魅力
公益社団法人日本ラクロス協会 理事・CSO(最高戦略責任者)
安西 渉

 

地上最速の格闘球技

ラクロスは、10人対10人で、サッカーやラグビーと同じくらいの広さのグラウンドで、「クロス」と呼ばれる棒の先に網がついた用具で直径6cm強のゴム製のボールを操り、相手ゴールにシュートを決める「チームスポーツ」です。
日本の競技人口は約1万3000人。うち1万1000人が大学生で、女子選手の方が男子選手よりも多く、9割以上の選手が大学から始める、カレッジスポーツでも最大規模を誇るスポーツです。
男女ともに、素早いパス展開と、フィールドを縦横無尽に走り回るスピード感が魅力で、特に男子においてはぶつかったり押しのけたりといった身体的接触(ボディコンタクト)が許されているため、「地上最速の格闘球技」と呼ばれることもあります。

 

 

日本のラクロスの歴史

日本におけるラクロスは、1986年、慶應義塾大学の1年生10数名によって始まりました。「何か新しいことをゼロからやろう」と話す中でたどり着いたのが、北米でカレッジスポーツとして名高い「ラクロス」。彼らがアメリカとカナダの大使館に出向いた後、当時NCAA(全米大学体育協会)のチャンピオンであったジョンズホプキンス大学のヘッドコーチと出会い、日本のラクロスは始まりました。日本ラクロス協会(JLA)の理念「私たちは開拓者だ」は、何もないところから自分たちの新しい遊び場を創った創業メンバーの精神を受け継いでいます。

その後、初代の開拓者たちは、関東のみならず全国の大学にラクロスの普及を行い各地で学生主体の運営体制を築き、1997年までの10年間でラクロス競技人口は1万1000人以上にまで拡大しました。それ以降の約30年間、「自分たちの遊び場所は自分たちで創る」をキャッチフレーズに、「誰にも依存せずインディペンデントであること」を大切にし、国や自治体、企業などの外部資本に一切頼らずに、任意団体として成長を続けました。

一方で、ラクロスを内輪の盛り上がりで完結させずに広く社会一般に認知され愛されるスポーツにしたいという想いは少しずつ大きくなり、2018年に日本ラクロスの戦略的成長を掲げ一般社団法人化した後、2022年には公益社団法人となり、ラクロスは「広く社会に公益性を認められた競技」となりました。

 

オリンピックの効果と、メダル獲得の可能性

2023年10月16日に、IOC(国際オリンピック委員会)により、2028年に行われるロサンゼルスオリンピックの追加競技としてラクロスが追加されることが発表されました。その後のパリオリンピックが終わってからはラクロスへの注目度が日々着実に上がってきており、メディアによる取扱量は、2023年度が広告換算費で約9,000万円の露出であったのに対して、2024年度は約14億円と、約15.5倍に増えています。

注目度が上がってくるにつれて、自然とメダル獲得への期待も高まってきていて、「日本はラクロスでメダルを狙えそうなんですか?」と聞かれることもたびたびなのですが、私は、「メダル獲得は十分にあり得ます」と答えています。金、銀メダルにはまだ手が届きませんが、銅メダルは十分射程圏内です。近年のラクロス日本代表の活躍は目覚ましく、2022年のWorld Games(非オリンピック競技のマルチ大会)で男子が銅メダル獲得したのを皮切りに、2024年には女子の20歳以下世界選手権大会で銅メダル、2025年のアジア選手権大会では金メダルと、順調に力をつけてきています。その他の大会でも5位以内に付けており、メダル争いへの挑戦権を手にしています。

ラクロスのロサンゼルスオリンピックの出場枠は6つ。2026年に行われるアジア選手権大会、2027年に行われる世界選手権大会を経て出場国確定となります。これからますます盛り上がっていくラクロスにぜひ注目をしていただけると嬉しいです。

 

今後の青山学院大学の公式戦予定

「ラクロスに少し興味がわいた」という方がいらっしゃいましたら、今まさに開催されている学生リーグ戦の公式戦に、是非、青山学院大学の観戦&応援に行かれてみて下さい(プレイオフ前のリーグ戦は全て無料ですので、チケットも必要ありません)。この魅力あるスポーツが、青山学院の皆さまに伝わることを祈っています!

 

青山学院大学 女子試合日程:
青山学院大学 男子試合日程:

 

 

Profile プロフィール

安西 渉
公益社団法人日本ラクロス協会 理事・CSO(最高戦略責任者)

2004年 東京大学卒
2005年~2013年 社会人クラブのチャンピオンリーグでプレー

2010年~2013年、2021年 東京大学男子ラクロス部コーチ
2016年~2020年 千葉大学男子ラクロス部コーチ
2022年~現在 青山学院大学男子ラクロス部コーチ

2018年 日本ラクロス協会理事就任
2020年 日本ラクロス協会CSOに就任

 

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