Interview インタビュー ボランティアの形

楽しく活動し、街を変え、人の心を変える〈グリーンバード青山学院大学ゴミ拾い愛好会〉

青山学院では多種多様なボランティアが行われています。「グリーンバード青山学院大学ゴミ拾い愛好会」は、世界中で活動が行われているゴミ拾いボランティアのNPO「グリーンバード」のチームの一つ。「SDGs」に繋がる活動としても注目されています。

今回登場するのは代表の佐藤颯(さとうそう)さん。学生主体のグリーンバードのチームとして初の大学公認化を実現し、学内にとどまらず渋谷区の街づくりにも深い関心を寄せ、精力的に活動しています。

佐藤さんに活動への想いを語っていただきました。

(2021年7月6日 インタビュー)


──グリーンバードの活動内容について教えてください。
活動は大きく分けて定例活動とイベントの二つです。コロナ禍前は、定例活動として隔週月曜日と金曜日の朝と夜にゴミ拾いを行い、学内外の学生や地域住民等の方々にご参加いただいておりました。

イベントは代官山商店街と協力した子ども向けのハロウィンイベント、地元の小学校と捨てられた後のゴミについて学ぶワークショップ、そして「オープンキャンパスおそうじ」と題した現役の大学生と受験生が交流しながらキャンパスのゴミ拾いをする企画等、多岐にわたります。

ワークショップにて。地域の子ども達とゴミの分別について学ぶ

 

──ボランティアを始めたきっかけと、ゴミ拾いを選んだ理由は。
実は、以前の僕はどちらかというと、ゴミを捨てる側の人間でした。

大学進学前、マイケル・ジャクソンの「Man In The Mirror」のPVを観て、今までの自分の行いを恥じ、「何かしよう!」と思ったのがきっかけです。

※人種差別や環境破壊、戦争等人類の歴史、歴史に残る人物の映像により構成される
 

SNSでゴミ拾いのボランティアを知り、参加のハードルの低さが魅力の一つだと思い、グリーンバードの赤坂チームに参加しました。その後、進学を機に青山学院大学チームでの活動を始めました。

インタビューに答える佐藤さん

 

──団体として、個人として、SDGsについて意識していることがあれば教えてください。
SDGsの17の目標は「社会・環境・経済」の三側面から捉えられるとされていて、僕達は「社会」と「環境」の面での役割を意識しています。

「社会」という観点で捉えるのならば、ボランティア活動の入り口的な存在でありたい。また「環境」であれば、ただ黙々とゴミ拾いをするのではなく、自分達が楽しくゴミ拾いをすることで、それを見た人がゴミを捨てる気にならない、それが重なって街の意識が変わっていく、と考えています。ただ街を綺麗にするのであれば、清掃員を雇うという手段もあります。雇用を生む「経済」に繋がり三側面の循環を望めますが、根本的な街の変化になるかと考えると疑問が残るところです。

やはり楽しく活動することで、長期的に街の意識を変えることが本当の役割なのではと思っています。

個人としては、できることをできる範囲で、気が付いたら行う、ということを意識しています。SDGsは規模が大きく捉えられがちですが、169のターゲットをよくよく見ると、電気をこまめに消す、ペットボトルの使用を減らす等、個人でできる小さなこともあります。

渋谷区の会社とコラボで開催された学生限定ゴミ拾い&ワークショップ。後列左から2番目が佐藤さん

 

──活動中の忘れられないエピソードはありますか?
2019年の「オープンキャンパスおそうじ」に参加してくれた小学生が、夏休みの宿題で「楽しく活動をして、街の意識を変えていく」とグリーンバードについて書いてくれた時は、僕達の活動が伝わったと感激しました。彼は現在中学生で、僕も参加しているグリーンバードの表参道チームで活動しており、今も交流が続いています。

また以前、不登校の中学生が参加してくれました。僕と色々なことを話して、他のメンバーとも関わっていくうちに心を開いてくれて、やがて学校に行き始めたとお母様から涙ながらに教えていただきました。忘れられない出来事でした。彼とはずっと連絡を取っていて、現在は無事高校に進学したと聞いています。

──コロナ禍前後で、活動に対する考え方の変化はありましたか。
以前より「無理をしないこと」「続けられる活動をすること」を意識するようになりました。活動頻度は格段に少なくなりましたが、その分、濃密な活動ができていると思っています。例えば、昨年度大学のボランティアセンターと共同でゴミ拾いのイベント「Green Up Project!」が行われ、渋谷区の環境整備課の方が視察にも来てくださり、グリーンバードの活動を知ってもらうことができました。



「Green Up Project!」の様子

 

──佐藤さんにとって“ボランティア”とは何でしょうか。
ひと言でいうと「社会の受け皿」で、例えば「社会貢献をしたい」「色々な人と交流したい」等、多様なニーズに応えられるツールだと考えています。

また投資家が投資を行う際、社会貢献に則した事業を行っている企業であるか否かを判断基準にすることがあり、企業側も資金調達のために社会貢献を意識するという話を聞いて、本質的ではないにしろ、企業のニーズの一つをも満たすという意味で、ボランティアは汎用性が高いツールなのかなと思います。

──今後の目標をお聞かせください。
SDGsには未来から逆算してすべきことを考える「バックキャスティング」が基本にあります。団体としても、SDGsが掲げた2030年から逆算して、既存の活動を走らせつつ、次の世代に繋げることを見据えています。

そして、やはりボランティア活動をしたい人の入り口になること、楽しく活動することで街の意識を変えることが最終目標です。

個人の目標としては、社会人になった際、自分は会社でどういう役割を担い貢献しているか、しっかり認識を持ちながら働きたいと思っています。

幼い頃から父にいわれ続けている「お金は社会に貢献した対価」という考えが根底にあります。具体的には「生活者目線」が一つのテーマで、街のニーズに応えそれを形にしていく仕事、あるいは商社のように既存のリソース(資源)が整っていれば、それを社会に還元していける仕事ができればと思います。

もちろん、グリーンバードの活動も続けていきたいですね。

──青山学院の在校生へのメッセージをお願いいたします。
ぜひグリーンバードに来てください。きっと何か発見があると思います!

──変わりゆく街の意識が楽しみですね。本日はありがとうございました。

「青山学報」277号(2021年10月発行)より転載

 

佐藤さんからのメッセージ動画

 

また、佐藤さんは「渋谷のラジオ87.6MHz」にて、パーソナリティとして出演されています。詳細は以下のアオガクプラスのTweetよりご確認ください。※Tweetは2021年7月7日の投稿です