Variety いろいろ

青山学院資料館 細部までこだわった美しい本 前編『ジャンヌ・ダルク』

元女子短期大学子ども学科教授

さくま ゆみこ

青山学院女子短期大学の図書館は女性や子どもに関する資料がとても充実していますが、今回はその中から、19世紀末のフランスの絵本『ジャンヌ・ダルク』をご紹介します。

ジャンヌダルク

ブーデ・ド・モンヴェル (Maurice Boutet de Monvel)作の『ジャンヌ・ダルク(Jeanne d’Arc)』は、青山学院女子短期大学図書館に3種類が所蔵されています。そのうち一つは1978年に出た日本語版ですが、あとの二つはどちらも1896年にフランスで出たもので、片方は写真製版による普及版、そして今回ご紹介する、オリジナルの石版印刷による限定30部(青短のものは8番目)の豪華版です。この豪華版の表紙はヴェラム革に金で文字や装飾が施されており、本文は和紙に刷られています。計算された構図と、微妙な色彩をうまく表現した美しい絵を、ぜひ見ていただきたいと思います。

こちらの動画から『ジャンヌ・ダルク』全頁がご覧いただけます

作者のブーデ・ド・モンヴェルは、ジャンヌ・ダルクゆかりのオルレアンの生まれで、ほかに童謡やわらべ唄、ラ・フォンテーヌの寓話の絵本なども出しています。

「青山学報」242号(2012年12月発行)より転載

青山学院関係者からの情報

学院関係者の方より、『ジャンヌ・ダルク』が女子短期大学図書館(以下短大図書館)に所蔵された経緯について情報をいただきましたので、下記に紹介いたします。

短大図書館で司書として長きに亘り勤務された元職員(大学卒業生)の方から、将来の学生のために短大図書館に相応しい蔵書の購入にと多額な寄付金を頂戴しました。ご厚志に報いるため短大図書館(2008年当時)で検討し、優雅でオリジナリティあふれる本書の購入にいたりました。
そんな元職員の思いがこの1冊の本に込められていることを皆さまにも知っていただければ幸いです。

(OHさん)