大学陸上部の練習に初等部生がやって来た!
2022年5月7日土曜日。青山学院大学相模原キャンパスには元気いっぱいの青山学院初等部生が続々と集まって来ました。この日は恒例となった青山学院大学陸上競技部と初等部ランニングクラブとの交流会。新型コロナウイルスの影響により初等部のクラブ活動が制限されていたブランクを経て、待望の開催となりました。憧れの大学陸上部と同じグラウンドで練習できる貴重な機会とあって、子どもたち興奮気味の様子です。
さて、800m直前の子どもたちの前に原監督と監督夫人の美穂さんが来てくださいました。わぁっという大歓声とともに全員が立ち上がって監督のもとへ駆け寄り、お話に聞き入ります。
原監督 長距離を走る皆さんに言いたいのは、今はペース配分にしばられる必要はないということ。とにかく行けるところまで行く! そして練習を積み重ねていくなかで今回はオーバーペースだったなとか、消極的だったなとか、それなら次はこうしようとか。自分自身の体感から(ペースを)掴みとっていくという成長がある。だから今日は自由に走ってください!頑張りましょう!!
原監督の号砲で800mがスタートしました。陸上部マネージャー主務で理工学部4年の保手濱(ほてはま)涼介さんと、同じくマネージャーで地球社会共生学部3年の渡會(わたらい)留那さんが子どもたちに励ましの声を掛けながら一緒に走ってくれました。2周目に入ると険しい顔つきになる子どもの姿も。柚村先生は懸命に駆け抜ける子どもたちを声援で後押しします。監督夫人の美穂さんも後方の女子に声をかけながらゴールまで一緒に走ってくれました。はちまきの「心で走れ!」の言葉通り、一人もあきらめることなく、苦しさに打ち勝って全員がゴールにたどり着きました。
もっと速く走りたい、もっと楽しく走りたい
無事に800mを完走した子どもたち。今度は大学陸上部の練習をみんなで見学しました。「3000mTT(タイムトライアル)+8000mビルドアップ走+200m」がこの日の練習メニュー。箱根優勝チームの走りを直に見られるとあってみんなは大興奮。トラックを何周も走る選手たちのスピードが想像以上だったようで、「速い!」「すごい!」「フォームがきれい!」などの声があちこちから聞こえてきます。中には腕の振り方や上半身・下半身それぞれの動き、姿勢の美しさ、筋肉のつき方、呼吸の仕方など、かなり細かい点に注目している子どももいました。こんなに間近で選手の走りを見られるのは初等部ランニングクラブの特権です。先輩方の走りから熱心に多くを学び取ろうとする子どもたち。彼らの成長が楽しみです。
大学生の練習終了後、ランニングクラブの子どもたちは憧れの選手たちと交流の時間を持つことができました。原監督、監督夫人美穂さん、陸上競技部宮坂大器主将(国際政治経済学部4年)のあいさつに続き、初等部からも6年生の二人が代表でお礼の言葉を述べました。
■バロウズ 禄くん(6年)
原監督、選手の皆さん、箱根駅伝優勝おめでとうございます。僕は姉たちが青山の生徒だったこともあり、小さい頃から箱根駅伝で青山学院大学を応援していました。低学年の頃は陸上が苦手で好きではなかったけれど、タイムがだんだん伸びていくことで好きになっていきました。僕はいつか青山学院大学の選手の一員になりたいと思って練習しています。今日は原監督ご夫妻、選手の皆さん、交流会をしていただきありがとうございました。
■池田 紫音さん(6年)
箱根駅伝優勝おめでとうございます。私は1・2年の頃はリレーの選手だったのに、3・4年では選ばれなくなり、悔しかったのでこのクラブに入りました。青山学院大学陸上部と交流させていただき、選手の皆さんの走りを見ることができました。こんなにも走るのが速いのにさらに頑張って練習している姿を見て、私ももっと頑張らなくっちゃという気持ちになりました。このような機会をくださった柚村先生、原監督、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。
12年前にスタートしたこの交流会は、青山学院が学校間の垣根を越えた児童・生徒・学生のふれあいを大切に考え取り組んできた活動の一つ。子どもたちは国内トップチームの監督・選手・スタッフと身近に交流することによって、その技だけでなく競技に取り組む姿勢を見て学び、そして教えを受けた言葉を感受し、「自分で考える力」「感じる心」「人間力」といった情操を豊かに育んでいきます。
「初等部の駅伝大会の選手に選ばれなかったのが悔しかったから」「走るのは得意じゃないけど苦手を克服したい」「大学の選手たちと交流できるのがうれしくて」——。子どもたちがランニングクラブに入部した理由はさまざまですが、みんなとにかく走ることが大好きで、速く走ることへの情熱や、大学生の走りを観察する熱い視線には驚かされました。原監督が夢と語るように、このクラブから将来箱根を走るランナーが誕生してほしいと願わずにはいられません。
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古畑 了くん (5年) 2年生のときに担任の先生からランニングクラブの話を聞いていました。どのクラブかを選ぶときに、お母さんから運動系のクラブに入ることを勧められたこともあり、ランニングクラブに入りました。とにかく足が速くなりたいです。
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細田 あおいさん (5年) 走ることが大好き。箱根駅伝で走る選手たちを見てかっこいいなと感動し、もっと速く走れるようになりたいと思い、ランニングクラブに入りました。現在中等部生で陸上部に所属しているお兄ちゃんの影響もあります。
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中西 絢一くん (6年) ランニングクラブに入ると走るのが速くなってリレーなどで活躍できると聞いて、入りたいと思いました。箱根駅伝などで活躍している陸上競技部の大学生や、コーチなどが直接指導をしてくれるのは他の学校にはないすごいことだと思います。今後は初等部の三者対抗リレー(教員・保護者・児童で行うリレー)に出場するのが目標です。僕は身長が高いので、身長も活かした走りができるようになりたいです。
初等部ランニングクラブ出身で、現在は大学陸上競技部で活躍中の
二人にお話を聞きました
恩師柚村先生を囲む横田選手と白石選手
■横田知己選手(経営学部2年)
——初等部のときから大学陸上部を目指していたのですか
横田選手 走ることの楽しさを教えてくれたのがこのランニングクラブでした。たしか僕が6年生のときに青山が箱根で初優勝したんです。その年の交流会の写真を今でも家に飾っていますよ。当時は憧れの目で選手たちを見つめていましたけど、今はその陸上部に自分がいる。不思議な感覚ですね。
——ランニングクラブで思い出に残っていることは
横田選手 柚村先生の熱心さが印象に残っています。特に毎日の朝練。毎朝登校した後、制服のまま走っていました。先生は雪の日でも半袖短パン姿で誰よりも元気でした。それと初等部の駅伝大会でのこと。「知己!がんばれー!!!」ってものすごく大きな声で叫びながら近くを一緒に走ってくれたんですが、それをほかの先生から怒られてました(笑)。でもそれくらい一所懸命応援してくれて本当にうれしかったですね。
——今日の子どもたちを見てどうですか
横田選手 僕はランニングクラブのときは特に速い方ではなかったんです。でも好きでやり続けていたら必ず身につくのが長距離という競技だと思います。今の子どもたちにも頑張ってほしいですね。
■白石将隆選手(社会情報学部1年)
——ランニングクラブに入ろうと思ったきっかけは
白石選手 最初は友だちに誘われたのがきっかけだったんですが、タイムがだんだん伸びてくるのが楽しくて走るのがどんどん好きになった。6年生のときは朝練を1日も休みませんでした。大学陸上部との交流会のことはよく覚えています。選手が走るのを見てその速さに衝撃を受けました。
——大学陸上部に入るまでのことを教えてください
白石選手 初等部のときから大学駅伝チームに入りたくて、中・高等部でもずっと陸上部でした。大学に入る前の1年間は、これまで箱根で走った青学の選手の、高校時代の5000mタイムを調べて、それが14分44~45秒くらいだったので、そこは最低限クリアしたいと考えていました。結果その目標を達成できたことは自信になりました。今陸上部に入って、先輩方とはまだまだレベルの差がかなりあるのですが、しっかり練習をしていって徐々に差を詰められたらなと思っています。
——速く走りたいと頑張っている子どもたちに伝えたいことは
白石選手 頑張った分だけ結果が出るということ。僕自身、目標に向かって毎日練習を重ねて目標タイムを出すことができました。その達成感によって走ることがもっと楽しくなっていきました。だから目標を持っていろんなことに取り組んでほしいなと思います。
初等部生をリードしてくれた陸上部マネージャーのみなさん
ありがとうございました
保手濱涼介さん(理工学部4年)、日髙菜摘さん(コミュニティ人間科学部4年)、石田葵結さん(地球社会共生学部4年)、小野琴美さん(経済学部3年)
初等部の児童たちとのトレーニングを通して、陸上が好きだという子どもたちの熱意と、好きなことに意欲的に取り組む姿勢に刺激を受けました。普段の大学生のみんなとの部活動とはまた違う、子どもたちとの交流はとても新鮮で勉強になりました。(マネージャー主務・保手濱涼介さん)