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「桜未来計画」AOYAMA SAKURA プロジェクト

2023年3月14日、まもなく桜の開花がはじまる季節。
AOYAMA SAKURAプロジェクトの中心メンバーが集合した。

 

話は1年前にさかのぼる。
2022年4月2日土曜日、晴れわたる空のもと「AOYAMA SAKURA プロジェクト」による、桜の植樹が行われた。
青山キャンパスには桜が少なく、50年後、100年後を見据え、桜を楽しめる場所を増やそうという思いが込められたプロジェクトだ。

 

AOYAMA SAKURAプロジェクト 桜の苗木を植える

1年前の植樹当日、リーダーの齊藤弘幸さん(本部管理部)と4名の職員メンバーを中心とし、若手職員や、中等部の先生・生徒、高等部の生徒も参加して、合計36名の仲間たちが、コマツオトメ(小松乙女)という品種の苗木20本を、キャンパス内に植えていった。

新型コロナウイルス感染予防策として配布した桜の模様が入ったマスクを着用することで一体感を持って植樹を行うという素敵なアイデアも採用された。

 

〈AOYAMA SAKURA プロジェクトメンバー〉
 齊藤弘幸さん(リーダー 本部管理部施設課)
 朝比奈由美子さん(大学庶務部施設課〈現・学務部教務課〉)
 男石一也さん(大学庶務部施設課)
 山﨑悠太さん(高等部事務室)
 松田健吾さん(中等部事務室)


桜の模様が入ったマスクを着用(メンバーの松田さん)

 

このプロジェクトについて、リーダーの齊藤さんは、「青山学報」281号(2022年10月発行)で次のように紹介している。

    日本において春の花といえば桜のイメージが深く浸透しています。さらに受験に合格したときに「サクラサク」と表現するなどめでたいことの象徴でもあることから、園児・児童・生徒・学生達が今後の新たな出発や挑戦に向けて期待に胸をふくらませる「学校」という場面・場所において、桜は欠かせないものであると言えると思います。

    ところが青山キャンパスにおいては、卒業式や入学式等のイベントの際に絶好の撮影スポットとなる正門やメインの建物の出入口付近にあまり桜が見られず、また、屋外のベンチに座りながらゆっくりと桜を楽しむことができる場所も限られているのが現状です。一般的に桜の寿命は50~60年程度といわれていますが、実際にキャンパス内の桜にも樹形が崩れかけて寿命を迎えつつある個体が見られます。このような背景のもと、50年後、100年後を見据えて桜を絶やさないようにしたいという切なる思いを持って桜を植樹する企画をAOYAMA PRIZEに提案しました。


リーダーの齊藤さん

 

AOYAMA PRIZEとは

このAOYAMA PRIZEは、職員が、自分の属する部署の業務に拘わらず、個人で企画し、運営委員会メンバーに対してプレゼンテーションを行い、採用された企画については予算が割り振られる。2016年度より実施している本学独自の制度である。

この目的は、
・個人からの改革提案ができる場の創出(ボトムアップ型の改革)
・改革・改善サイクルの健全な組織体質づくり
・形になるという達成感の創出、『青山学院を良くする』という共通目標による連帯感の醸成
・青山学院の未来を託されているという意識付け

これらを多くの職員が共有していくことにある、としており、これまでにも多くの企画が実行されている。
(蛇足ながら、私も2017年に「青学動画コンテスト2017」を開催させていただいた)

 

コマツオトメ


国立劇場の前庭に咲くコマツオトメ

 

今回植えられたコマツオトメという品種は、ソメイヨシノ(染井吉野)の子であると考えられていて、上野公園に建つ小松宮彰仁親王の銅像の近くに原木があったことから“コマツ”と名付けられたそうだ。
成長すると、樹高が10メートル程度になる中型の木で、葉が細かくて美しい形をしている。
また病気に強く、ソメイヨシノの後継種と位置付けられている品種だと言われている。

桜の名所づくりに携わってきた公益財団法人日本花の会では、1962年以来、200万本以上のソメイヨシノを配布してきたそうだが、ソメイヨシノがサクラ類てんぐ巣病に弱いことから、2005年からはソメイヨシノを植え替える場合、コマツオトメとジンダイアケボノ(神代曙)を推奨している。

 

植樹から1年 桜の成長を巡察

さて、冒頭の2023年3月14日に時を戻そう。
1年間の成長を見届けるために、プロジェクトの中心メンバーが集まった。

高等部に植えた「No.1」の苗木を見に行く。

「根が張ってないですね」
いきなり幸先が悪い結果だ。
土からするりと抜けて、最初の苗木のままだった。


根付かなかった「No.1」

 

しかしすぐそばの「No.2」は新芽を吹いている。


新芽が吹いている「No.2」
左から齊藤さん、男石さん、山﨑さん、朝比奈さん

 

その成長の違いを目の当たりにして、メンバーたちも考え込んでいた。
日当たりや土の栄養の状態など、成長の条件を考えさせられることとなった。

そして「No.20」まで、順番に構内を歩いて見回っていく。


「No.5」もすぽっと抜けてしまった

 

新芽をいっぱい付けているもの
枝がいっぱい分かれてきたもの
枝は長いが新芽が出ていないもの
背が低いものの芽が出ているもの
根が無くなって、すぐに抜けてしまうもの

 

「この木はおてんばだなあ」
「まだ低いけど、頑張れ」
「よしよし、ちゃんと育っているぞ」


1年前の植樹で最初に植えた「No.7」

 

 

まるで我が子の成長を見守るかのように、声をかけていくメンバーたち。
成長ぶりがうれしいようだ。

木の周りや看板の手入れも行っていく。

 

メンバーたちの「予想した以上に成長している」という安堵した心の声が聞こえてきた。

リーダーの齊藤さんは植樹以来、日々苗木たちを見守ってきた。
主に水遣りや雑草取りを行っている植栽担当の方の協力や、業者を手配して効果的に栄養を与える寒肥作業、背が伸びてきた苗木に竹を添える作業なども行ってきた。

 

この巡察の結果、以下の通りメンバーで決定した。
・植え替え… 2本(No.1、No.5)
・新規で苗木を植える… 3本

 

青山キャンパスの新たな名所として

桜は比較的成長が早いそうで、早ければ来年か再来年には花を付けるそうだが、大木に育つまでにはまだまだ時間が必要とのことだ。

日本花の会ウェブサイトの「桜の植え方・育て方マニュアル」によると、この後、剪定や雑草取り、病害虫防除、鳥獣害対策など、様々な作業が必要だそうだ。気の長い作業である。

何年か後、新たな青山キャンパスの桜の名所として成長し、人々の目を、心を楽しませてくれるコマツオトメの成長を、メンバーたちは植栽担当の方々とともにこれからも見守り続けていく。