文学賞受賞「言葉の力」を信じて〈高等部・座間耀永さん〉
2022/06/22
4月から高等部に進学した座間 耀永(ざま あきの)さんが、2022年3月、第13回子どもノンフィクション文学賞の中学生の部で「大賞」を受賞しました。受賞した『命の襷を繋ぐ時』と題した作品は、自身の闘病生活などを通して命について考えた作品です。428編の応募作品の中から見事、最優秀賞にあたる大賞を受賞し、3月19日に表彰式が行われました。表彰式のスピーチでは、「地の塩、世の光」のごとく、陰ながら人を支えていくようなサーバント・リーダーとして、世の中に貢献をする人間になることを目指したい、と語った座間さん。初等部在籍中から数々の賞を受賞している座間さんに、お話を伺いました。(インタビュー:4月6日 広報部)
──受賞、おめでとうございます。感想をお聞かせください。
中学2年生になる直前の春休みに手術をしました。その時から、中学生で最後に書くテーマは、手術・闘病生活の体験談にすると決めていました。今まで以上に、大賞を取りたいという気持ちがより一層強かったので、受賞できて本当に嬉しかったです。
──どのようなご病気ですか。
思春期の女の子がなりやすい病気で、特発性側弯症という病気です。悪化すると呼吸がしづらく、疲れやすくなることがありました。手術した後はだいぶ自分の気持ちが吹っ切れてきて、手術して良かったなっていう気持ちがじわじわ湧いて、この体験談を書くことによって、気持ちを発散できたかなと思います。
──小学生の頃から朝日小学生新聞のレポーターをされていたそうですね。
1年生の夏から新聞を読み始め、レポーターの募集要項を見た時に自分も記者になれるのかなと思って、3年生の時に応募しました。文章を書いてみたいという気持ちでした。
──特に印象に残っているレポートを教えてください。
3Dコンピュータで洋服を作っている方にインタビューをした時は新しい発見がありました。4年生の時には、イーロン・マスクさんのスペースX社の工場見学をしました。なかなか機会がないと見られないのですごくありがたかったです。
──ほかに印象に残っていることはありますか。
ヨットをしているご縁で取材をした、全盲で初めて太平洋を横断した岩本光弘さんや、冒険家の白石康次郎さん、南谷真鈴さんとは、今も交流が続いています。
──文章を書くのはいつ頃から好きなのですか。
初等部の時に毎日連絡帳に日記を書いていたことと、学校の文集のために国語の授業で作文を書くことがあり、その時に文章力がついたのかなと思います。今回の応募作品は完璧に仕上げたかったので、最後の5行の100字の部分だけ推敲し直して、原稿用紙50枚ぴったりで収めました。
──好きなテーマはありますか。
今のようにSDGsが注目される前から、海の環境問題に取り組んでいました。東京湾と相模湾にある二つのヨットスクールに通っていたのですが、同じ神奈川県内なのに海の汚れ方が違うことに気付きました。これからもSDGsをテーマに書くことができればと思っています。
──多くの人にSDGsへの関心を持ってもらうためにはどうしたらよいと思いますか。
身近なことから、たとえば買い物に行く時にエコバッグを持っていくことから始められると思います。企業でもプラスチックから紙のカップやストローに代える取り組みが増えています。自分が買った時に〝紙ストローだ〟と気付くことができれば、それが関心の始まりだと思います。
──今後フィクションを書きたいという気持ちはありますか。
フィクションは自分で考えて物語を作らないといけないので、これからチャレンジしたいです。あとは決められたテーマで書いてみたいです。一昨年の「言の葉大賞」のコンクールでは、「壁」というテーマで優秀賞を受賞しましたが、昨年のテーマ「道」では受賞できなかったので、また今年も挑戦したいです。
──いつ頃からどのような本を読んでいたのですか。
初等部の時に課題図書の中からたくさん読みましょうという取り組みがあって、伝記などを何冊も読みました。ほかにもノベライズを読んでいました。最近は、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という本を読みました。太宰治の『グッド・バイ』や芥川龍之介の作品なども読んでいました。
──高等部に進学されてどんなことにチャレンジしたいですか。
まだまだ作文は書きたいなという思いはあるので、決められたテーマで長編作を書きたいなって思います。あとは全国学芸サイエンスコンクールの作文部門での受賞を目指したいです。
──将来の夢を教えてください。
実は作家ではなくて、大使館員です。そこで広報の仕事をしたいと思っています。大使館員は初等部の5、6年生の特別授業「ようこそ先輩」で、卒業生でイギリス大使館に勤めている方のお話を聞いた時に、楽しそうだな、働いてみたいなと強く思いました。海外と繋がるような仕事ができればなと思っています。
──作家になれる才能をお持ちなのに少し残念な気がします。
作家になろうという気持ちはないのですが、「言葉の力」を信じているので、同じ病気の方とか、思春期の女の子や、ガンにかかった人などの助けになることができれば良いなと思います。性格的に人見知りで緊張してしまい、先陣を切ってみんなをまとめるタイプではないので、「地の塩、世の光」のようなサーバント・リーダーになれればなと思います。
──後輩たちにメッセージをお願いします。
作文を書くのが嫌だなって思っている子には、「書いているうちに好きになれれば」って思います。書くことが好きな子には、「ボツになっても恐れないで書き続けることが大切」と伝えたいですね。実は私は、学校の文集には一度も載ったことがないんですよ。
──好きな言葉はありますか。
文章講座で習っていた先生から教わった「進みながら強くなる」という言葉です。
──その言葉通り、座間さんは失敗やつらいことを乗り越えて強くなっていらっしゃいますね。これからのご活躍も楽しみです。本日はありがとうございました。
小4 第58回水道週間作品コンクール〈作文の部〉 優秀賞
小5 第1回印刷と私 エッセイ・作文コンテスト〈小学生の部〉 小山薫堂最優秀賞(優勝)
小6 第10回子どもノンフィクション文学賞〈小学生の部〉 大賞
中2 ポストSDGs 全国作文コンテスト 北陸枠優秀賞
第1回リビエラSDGsフェス作品コンクール リビエラ賞
第11回言の葉大賞〈中学生部門〉 優秀賞
中3 サンリオ Let’s Talk スピーチコンテスト〈中学生の部〉 Let’s Talk賞(優勝)
第18回日台文化交流青少年スカラシップ〈作文部門〉 優秀賞
第13回子どもノンフィクション文学賞〈中学生の部〉 大賞
第2回リビエラSDGsフェス作品コンクール 審査員特別賞