Christianity キリスト教 図書紹介

『戦争をやめた人たち-1914年のクリスマス休戦-』(文・絵 鈴木まもる/あすなろ書房)

幼稚園教諭

石垣 李沙

今回は、2022年度に定期的に幼稚園で行われていた「平和を祈る会」の中で読まれた絵本『戦争をやめた人たち-1914年のクリスマス休戦-』をご紹介します。

10月の「平和を祈る会」では、『戦争をやめた人たち』という絵本を、全園児が一緒に見られるようにスクリーンに映して読みました。

これは1914年の第一次世界大戦で本当に起きた出来事と言われています。戦争中、食べ物も少なく、寒く厳しい毎日の中、12月24日のクリスマスイブの日を迎えたある兵士たちのもとに、敵の方から、歌声が聞こえてきました。それは、「きよしこの夜」でした。それを聞いて、自分たちも歌い始めます。すると、敵の方から拍手の音が聞こえてきたのです。次は、自分たちが「もろびとこぞりて」を歌うと、敵も自国の言葉で一緒に歌い始めます。双方のクリスマスの様々な歌が歌われて夜空に響きました。

翌日、一人の兵士が、両手を上げて敵方に近づいていくと、相手の兵士も、両手を上げて近寄ってきます。二人は恐る恐る互いに手を差し向けると「メリー・クリスマス」と言って握手をするのです。それに続いて、兵士たちが皆出てきて「メリー・クリスマス!」と言って握手をして気持ちを伝え合い、お互いの家族の写真を見せ合ったり、サッカーをしたりして過ごすのです。兵士たちは人を傷つけるよりも大切なことを改めて知ったのです。

けれども残念なことにこの後も戦争は続いていくのでした。

絵本を読んだあと、子どもの祈りをもって、この日の会が締めくくられました。

この世界は神さまが創られ、美しく、素晴らしいものであります。神さまが私たち一人ひとりを愛してくださっているように、私たちも周りの人やこの世界を大事にして過ごし、愛が広がるように、平和が隅々にまでゆき渡るようにと願います。

キリストの平和があなたがたの心を支配するようにしなさい。(コロサイ信徒への手紙 第3章15節)

 

書籍情報

文・絵 鈴木まもる
あすなろ書房 2022年5月
1,500円+税

 

「青山学報」283号(2023年3月15日発行)より転載