青山学院のオルタークロス
2021/11/30
青山学院の各設置学校・学院本部の礼拝堂の聖壇には「オルタークロス」が掛けられています。名前を聞いただけではわからない方でも、礼拝堂に入ったことがある方なら目にしたことがあるのではないでしょうか。そのさまざまな色や刺繍には、いったいどのような意味が込められているのでしょうか。
今回はキリスト教のシンボルとしての「オルタークロス」の持つ意味と、各設置学校・学院本部のオルタークロスをご紹介します。
Altar Clothは直訳すると「聖壇の布」で、礼拝堂の聖壇に掛けられているものです。典礼色は4色あるため、青山学院の各礼拝堂には4色のオルタークロスが用意されており、教会暦によって交換されています。
生地はサテンで、美しい刺繍がほどこされているものも珍しくはありません。校章が描かれたオルタークロスは、オーダーメイドで制作を依頼したものです。
キリスト教には、教会暦と呼ばれる固有の暦があります。古くから人々は、時間もまた神が与えてくださったものであることを覚え、教会暦に沿った祝祭日を祝うことで、イエス・キリストの生涯を覚えつつ、ライフスタイルを整えてきました。この教会暦には象徴となる典礼色も定められており、呼称や期間区分は教会によって多少異なります。青山学院では合同メソジスト教会の教会暦と典礼色を用いて、この伝統を取り入れています。オルタークロスと同様に、宗教主任の先生方が着用されているストラ(ストール)も、教会暦に合わせた色となっています。
教会暦
|
期間
|
典礼色
|
意味
|
待降節(アドヴェント) | クリスマス前の四つの日曜日を含む期間 |
紫
|
悔い改め |
降誕節(クリスマス) | 降誕日(12月25日)から公現日(1月6日)まで |
白
|
栄光・喜び・純粋 |
公現節(エビファニー) | 公現日後から灰の水曜日前日まで |
緑
|
緑 恵み・希望・いのち |
受難節(レント) | イースター前40日間(灰の水曜日から洗足の木曜日まで) |
紫
|
悔い改め |
受難日(イースター前の金曜日) |
赤
|
贖罪・血 | |
陰府下り(イースター前の土曜日) |
黒または無色
|
絶望・暗黒・死 | |
復活節(イースター) | イースター(春分の日のあとの満月の次の日曜日)からペンテコステまで |
白
|
栄光・喜び・復活 |
聖霊降臨節(ペンテコステ) | ペンテコステ(イースターから50日目の日曜日)から1週間 |
赤
|
火・力・聖霊 |
神の国節 | ペンテコステの翌週からアドヴェントの直前まで |
緑
|
恵み・希望・いのち |
左より、「パン五つと魚2匹の印(マタイによる福音書14章13‐2節より)」、「鳩」聖霊の象徴、
「永遠から永遠まで存在する全知全能の神」、「校章の基本形(高等部の校章と同形)と十字架」
上段左より、「大学の校章と十字架」、「十字架と燃える炎」合同メソジスト教会の象徴、
「鳩」聖霊の象徴、「三位一体」
下段、「JESU=イエス、INRI=ナザレのイエス、
ユダヤ人の王の略(ヨハネによる福音書19章19節より)」
上段左より、「十字架と平和」、「大学の校章と十字架」、「鳩」聖霊の象徴、
「XP」キリストを示すギリシャ語
下段、「永遠から永遠まで存在する全知全能の神」
上段左より、「まことの王であるキリスト」、「十字架と白ユリ」純粋・復活・再生を象徴、
「十字架とアルファ(初め・創造)とオメガ(終わり・終末)」、
「XP」キリストを示すギリシャ語
下段、「永遠から永遠まで存在する全知全能の神」
左より、「十字架にIHS(Iesous)のモノグラム」Iesousはイエスのギリシャ語、
「十字架とアルファ(初め・創造)とオメガ(終わり・終末)」、
「まことの王であるキリスト」、「高等部の校章と十字架」
左より、「十字架と平和」、「十字架と燃える炎」合同メソジスト教会の象徴、
「鳩」聖霊の象徴、「三位一体」
※撮影場所は青山学院講堂
上段左より、「復活のイエスが小羊の姿で十字架を掲げる」、
「三位一体にアルファ(初め・創造)とオメガ(終わり・終末)」、
「十字架と王冠」、「十字架にIHS(Iesous)のモノグラム」Iesousはイエスのギリシャ語
下段、「十字架と魚」魚はギリシャ語でichthys(イクサス)。イエス・キリストを表す
上段左より、「いばらの冠と釘」、「鳩」聖霊の象徴、「麦と葡萄」
下段、「箱舟」
最後に、オルタークロスについて、シュー土戸 ポール先生(副院長・大学宗教主任・文学部教授・学院宣教師)が「あなたと青山学院」No.7(2011年10月発行)の中で述べられたお言葉をご紹介いたします。
〈参考文献〉
「あなたと青山学院」No.7(2011年10月発行)
「あなたと青山学院」No.8(2012年5月発行)