Christianity キリスト教 図書紹介

心に語りかける23の言葉『ほんとうの自分になるために マザー・テレサに導かれて』

青山学院宣教師・大学理工学部教授

REEDY, David W.

本学では建学の精神「青山学院の教育は、永久にキリスト教の信仰にもとづいて、行われる。」、教育方針「青山学院の教育は キリスト教信仰にもとづく教育をめざし、神の前に真実に生き 真理を謙虚に追求し愛と奉仕の精神をもって すべての人と社会とに対する責任を 進んで果たす人間の形成を目的とする。」とスクール・モットー「地の塩、世の光」がある。そして近年サーバント・リーダーの育成という目標も掲げられている。その「人に仕えるリーダー」として神に社会に貢献した多くの者の中でもマザー・テレサを知らない人は少ないであろう。

まさにサーバント・リーダーの模範であるマザー・テレサに導かれた片柳弘史は90年代インドのコルカタでボランティア活動をしていた。そしてマザー・テレサと共に活動をしていく中でマザー・テレサから神父になるように勧められる。そしてイエズス会に入会し神父となり、現在山口県宇部市の教会に所属している。そして2017年、その片柳弘史神父がマザー・テレサに教わった様々なことが『ほんとうの自分になるために マザー・テレサに導かれて』という一冊の本としてまとめられた。

本の構成はマザー・テレサの23の言葉があり、続いて片柳神父が解説をする。そして各ページには「世界中に笑顔を広げるアーティスト」として活躍中のRIEさんの心温まるイラストが散りばめられている。

「失敗作などありません。一人ひとりが、神様の最高傑作なのです。」はあまりにも有名な言葉である。片柳神父の教会の幼稚園にダウン症の女の子がクリスマスの劇でセリフを完全に忘れてしまっているにも関わらず、満面の笑顔でステージに立ち続け、お父さん、お母さんそして観客も嬉しそうにその姿を見ていた。その女の子の姿はまるで天使のようで、劇を見た人たちには一生心に残るほど素晴らしいものとなった。きっと人生という舞台でも彼女は同じような役割を果たすであろうと片柳神父は語る。

「ありふれたことに、人並み外れた愛を込めなさい。」「どんな人の心にも愛が宿っています。それは私たちが、愛から生まれてきたからです。」「誰かが苦しんでいるなら、放っておくことはできません。」「できないのではありません。できることが違うだけです。」

数々のマザー・テレサが残した名言が今、片柳神父の解説とRIEさんのイラストにより新たに私たちの心に語りかける。この一冊には年齢を問わずほんとうの自分になるためのメッセージが詰まっている。セクションごとに内容が分かれているので、通勤電車の中など少し空いた時間でも非常に読みやすい。子供を持つ親なら是非寝かし付ける前に1セクションを読み聞かせて親子のコミュニケーションのために用いて欲しい。

 

書籍情報

片柳弘史 著
絵:RIE
PHP研究所 2017年
1,200円+税

「青山学報」265号(2018年10月発行)より転載