子ども目線で温かく描かれた『かみさま あのね』ほか3冊
2019/07/10
「かみさまってどこにいるの?」「どうしてみえないの?」私が保育者になるにあたり、子どもたちからそのような質問を受けたときに、自分は何と答えるのだろうか……どのように伝えたらいいのだろうか……。ふとそのように思い、子どもたちがわかる伝え方はないだろうかと考えたことがきっかけでキリスト教図書を探し始めました。そして出会ったのが今回ご紹介する本です。
子どもたちの「どうして」「なんで」という素朴な質問に対して、丁寧に子どもたちの目線におりて書かれており、温かさを感じたのがこの本の第一印象です。『かみさま どうして』『かみさま あのね』『かみさま おはなしきかせて』『かみさま おしえて』と数冊に渡って様々な質問に答えています。
『かみさま どうして』の一番はじめにこんな質問がありました。「どうして神さまはみえないの?」そしてそれに対する言葉は以下のように書かれていました。
「むかしから、誰でもみんな、神さまにおあいしたかったのです。—中略—神さまは私たちひとりひとりのこころのなかにいてくださるっていうことを、イエスさまが教えてくださいました。静かになってお祈りしたら、こころのなかの神さまにおあいできるでしょう。」(『かみさま どうして』至光社/1988年初版)
ある日の午後、3歳児(年少組)の子どもたち数人と滑り台をしていたとき、こんなことがありました。滑り台に上がっては滑ることを繰り返していたところに私が近づくと、Aくんが話しかけてきたのです。
Aくん「せんせいもいいよ。あがって……あがったらね、ここでおいのりするの」、私「お祈りをするの?」、Aくん「そうだよ。『かみさま』って。おはなしするの。それからすべるの」、私「そうなのね。わかったわ」。
その様子を見ていたBちゃんが「かみさま(どこに)いるかな?」と私のそばにやってきました。私「神さまはみんなの心の中にいるのよね」、Bちゃん「わたしのこころのなかにも?」、私「そうよ。Bちゃんの心の中にも」。するとBちゃんは嬉しそうに目をつむって祈り、滑っていきました。この日、ここでは滑り台に上がると、神さまとお話しをしてから滑っていく子どもたちの姿がありました。
また別の日には、園庭の地面を歩く蟻を観察していた5歳児(年長組)2人がこんな会話をしていました。Cくん「なんでありっていっぱいいるんだろうね」、Dくん「ありもかみさまがくださったんだよ。だから、ふんだらかみさまかなしむよ」。2人はそのあと、蟻を踏まないようにとゆっくりゆっくり歩いていました。
この本には、「どうしてお祈りするの?」「どうしてイエスさまは馬小屋でうまれたの?」「イエスさまのお母さんって どんな人でしょう?」と祈りやイエスさまのこと、マリアさまのこと、イエスさまがなされた御業についても書かれています。
年中、年長組になると、毎週の学年礼拝などで聴いた聖書のお話から疑問が湧き、そして次の礼拝で語られる聖書の御言葉を楽しみに過ごします。生活の中で神さまを心に感じながら過ごす子どもたちに、保育者として、どのような言葉をかけるのか、子どもたちの心に届く言葉を吟味しながら子どもたちの「どうして?」に向き合う日々です。
景山あき子 文
間所すずこ 絵
日本カトリック幼稚園連盟 監修
至光社
『かみさま あのね』1987年(品切れ中)
『かみさま どうして』1988年
『かみさま おはなしきかせて』1992 年
『かみさま おしえて』1994年