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青山学院 由来の地探訪プログラム【マクレイ編】

青山学院は、明治時代に米国のメソジスト監督教会から派遣された3人の宣教師が設立した学校がルーツとなっています。この度、創立から150年の節目に、教職員8名からなるワーキンググループを組織し、米国における学院由来の地を訪ね、そのルーツを探るプログラムを実施しました。メンバーは「団長」「学院史」「国際交流」「広報」「校友会」「後方支援」担当で構成され、全12回に及ぶ事前学習会を経て、自ら掲げた20以上のミッションに臨みました。

 

 

ロバート・サミュエル・マクレイについて

今回、「マクレイ編」では、「青山学院 由来の地探訪プログラム(以下、本プログラム)」におけるロバート・サミュエル・マクレイが設立した学校や彼とゆかりが深い土地の訪問など3つのミッションについて報告します。

 

ロバート・S・マクレイ(Robert Samuel Maclay)
ロバート・S・マクレイ(Robert Samuel Maclay)

 

ロバート・S・マクレイ(Robert Samuel Maclay)は、1824年にアメリカ・ペンシルベニア州に生まれました。1845年にディキンソン大学を卒業後、メソジスト監督教会ボルチモア年会で按手礼を受けました。その後、東洋への伝道を決意し、1848年から中国派遣宣教師として23年間、妻のヘンリエッタとともに宣教と教育に従事しました。その中で、長年にわたり鎖国をしていた日本宣教の意義を確信し、伝道局に働きかけた結果、 日本宣教部会の総理として全権を託され、妻と来日しました。

1879年には、マクレイを中心に、横浜・山手に「美會(みかい)神学校」が開校され、マクレイはそこで日本人伝道者の養成を目指しました。そして、1883年、美會神学校は東京英学校と合併して、東京英和学校(現:青山学院)となり、マクレイは東京英和学校初代総理(のちの青山学院初代院長)に就任し、1887年にアメリカへ帰国するまでその職にありました。

1907年、カリフォルニア州ロサンゼルス市で逝去。従兄弟には、アメリカ西海岸最古の名門私立大学である南カリフォルニア大学創立者のロバート・M・ウィドニーがいます。

 

ミッション⑪
クレアモント神学校において、マクレイを象徴するモノを探し、記録せよ

マクレイに関するミッションを達成すべく、クレアモント神学校に向かったのは由来の地探訪開始から5日目のことです。この学校は、彼の弟が設立し、マクレイ自身も学校長を務めたマクレイ神学校を起源とします。滞在するホテルがあるカリフォルニア州ロサンゼルスでは、何やら朝から盛り上がりを見せている様子…それも数人の集団ではなく、街全体が青に染まっています。

 

ホテル前の様子
ホテル前の様子

 

それもそのはず。ちょうど2日前に、ロサンゼルスを本拠地とするロサンゼルス・ドジャースがMLBワールドシリーズを制して、これから街中で優勝パレードを行うところでした。街中では左右前後どこを見渡しても、ドジャースカラーの青と白が爽やかに映えるユニフォームを身に着けたサポーターで溢れ、体中から嬉しさや熱気を放ち、パレード会場に向かっていました。大谷翔平選手や山本由伸選手も所属するドジャース。日本人選手として、日本から離れた地で、自ら道を切り拓き活躍する両選手を一目見て、一緒に歴史的勝利をお祝いしたい思いを堪え、我々はミッション達成に向けて、お祝いムードに包まれたロサンゼルスをあとに、車でクレアモント神学校へ向かいました。

 

クレアモント神学校
クレアモント神学校

 

同校はもともと南カリフォルニア大学内に所在していたこともありましたが、その後移転し、近年までは文字どおり「クレアモント」という地域にキャンパスがありました。クレアモントの人口は約3万7300人(2020年時点)で、全米有数の学園都市でもあります。しかし、2024年にクレアモントから、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)近隣にキャンパスを再び移転し、教会の一角を利用して、オンラインと対面授業を組み合わせたハイブリッド形式のキャンパスとなりました。それ故か、キャンパスは数室が数部屋とラウンジ兼礼拝堂から成るコンパクトな造りでした。

 

クレアモント神学校 教室
クレアモント神学校 教室
クレアモント神学校に隣接する礼拝堂
クレアモント神学校に隣接する礼拝堂

 

同校の職員にキャンパスを案内していただきながら、団員たちは、あちこちを見渡してマクレイを象徴するモノや関係するモノを探しました。ハリウッドの撮影にも使われたというストーンのようなオブジェはすぐに見つかるも、マクレイはどこにも見当たりません…

 

ハリウッド作品にも使われたという石のオブジェ
ハリウッド作品にも使われたという石のオブジェ

 

しかし、神学を学ぶ学校として、隣接する教会には荘厳で立派な礼拝堂がありました。パイプオルガンは礼拝堂内の前後にそれぞれ1台ずつ、そして壇上と左右には鮮やかな青のステンドグラスがありました。特に壇上のステンドグラスは、見ているだけで吸い込まれてしまいそうなほど神聖で、堂々とした雰囲気が漂っています。なんと、日が沈んでくると、その青が今度は金色に輝くとのこと。

 

クレアモント神学校に隣接する礼拝堂内の巨大なステンドグラス
クレアモント神学校に隣接する礼拝堂内の巨大なステンドグラス

 

キャンパス全体を案内していただきましたが、最終的にマクレイに関連するシンボリックなモノは見つけられませんでした…どうやら、キャンパス移転時に、キャンパス全体をコンパクト化した影響もあり、銅像などオブジェのようなものは運ばれたり、新たに造られたりされなかったようです。

しかし、マクレイが学校長を務めた学校を実際に訪れ、今の姿を肉眼で目にすることができた成果は大きく、何より、マクレイが深くかかわった両校が、その働きによって今日存在することを共有し、記念撮影を行うことで、新たな記録が刻まれました。

 

クレアモント神学校の教職員、学生との記念撮影
クレアモント神学校の教職員、学生との記念撮影

 

ミッション⑫
日本人留学生、現地教職員や在学生の中でのマクレイの認知度を調査せよ

キャンパス見学後には、同校職員の方がミーティングの機会を設けてくださり、在学生と対面・オンラインのハイブリッド形式でお話しできました。残念ながら、現在所属する学生に、日本からの留学生はおらず、お話を伺うことは叶いませんでしたが、今回お世話になった同校のGrant Hagiya校長とB. Yuki Schwartz教授などは日系アメリカ人の方で、また、日本にルーツをもつ在学生に接する機会が持てました。

開校から長い年月が経ち、マクレイについて詳しく知っている学生は少なかったのですが、伊藤団長から、青山学院大学での必修科目の授業の中で、創立者について紹介する機会があることを伝えると、「なるほど、それはいいですね」と、クレアモント神学校でもそのような授業の取り組みができればという反応がありました。

ちなみに、今回のオンラインミーティングには、普段の授業も完全オンラインで受講している学生が、教室から数千km離れた場所から参加しました。以前は長い月日をかけて航海を続け、たどり着いた地でキリスト教伝道を行っていましたが、現在は国境を越えて、居住地に左右されず、キリスト教を教え、そして学べるようになっていました。科学の進化はこのような変化とメリットをもたらしてくれるのだとあらためて感じました。

 

クレアモント神学校との交流(対面・オンラインのハイブリッド形式)
クレアモント神学校との交流(対面・オンラインのハイブリッド形式)
クレアモント神学校の教職員、学生との記念撮影
クレアモント神学校の教職員、学生との記念撮影

 

ミッション⑯
現在のマクレイの墓石を記録し、祈りをささげよ

クレアモント神学校でのミッションの翌日、由来の地探訪6日目には、マクレイが現在眠る場所を訪れました。マクレイの墓石はロサンゼルスの「Angelus Rosedale Cemetary」にあります。他の宣教師の墓地と同様に、やはり「Angelus Rosedale Cemetary」も広大で、車で乗り入れ、墓石のすぐ近くまで向かいました。

マクレイの墓石をきれいにして、伊藤団員を中心に、マクレイの墓前で祈りをささげるとともに、今回のプログラムについて報告しました。水を使って墓石をきれいに磨きましたが、濡れたあとはしばらく墓石に刻まれた文字が石の色と同化してしまい、見えづらくなってしまうようで、文字が再び浮き出てくるのをひたすら待ってから…現在のマクレイの墓石を撮影しました。濡れても文字がはっきりと見えるように、学院関係者で募金を集め、文字の部分を「白」や「黒」に塗りなおしてはどうか、などと話をしているところへ、大川牧師(ロサンゼルス市内の教会で牧師をされている本学卒業生)が現れ「勝手にシロ(白)~」といつものダジャレで私たちを笑わせてくれました。

 

マクレイの墓石。水に濡れて、文字が見えづらい
マクレイの墓石。
水に濡れて、文字が見えづらい
マクレイの墓石。水が少し乾いて、文字が徐々に見えるように
マクレイの墓石。
水が少し乾いて、文字が徐々に見えるように

 

 

クレアモント神学校に隣接する礼拝堂内の巨大なステンドグラスと伊藤団長
クレアモント神学校に隣接する礼拝堂内の巨大なステンドグラスと伊藤団長
クレアモント神学校前にて団員で集合写真
クレアモント神学校前にて団員で集合写真
マクレイの墓石
マクレイの墓石
マクレイの墓前で祈りをささげる
マクレイの墓前で祈りをささげる
マクレイの墓前にて校友会ロスアンジェルス支部メンバーと記念撮影
マクレイの墓前にて校友会ロスアンジェルス支部メンバーと記念撮影

 

※本ページ掲載の内容は、2024年10月時点のものです。
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