好奇心プラス+ みなさんの”What?” “Why?”におこたえします-回答編-〈2〉
2020/04/03
「好奇心プラス+ みなさんの“What?” “Why?”におこたえします」に、多数の質問・疑問をお寄せいただき、ありがとうございました。
今回は、「そろばんを続けることの効果」についての質問におこたえします!
みゆさんからの質問に、脳科学を研究されている、大学理工学部化学・生命科学科教授/脳科学研究所所長の平田普三先生にこたえてもらいました。
私も小学校3年生の時にお母さんにそろばんを買ってもらい、当時NHKラジオで毎日放送されていた「そろばん教室」というラジオ番組に耳を傾け、そろばんの玉をはじいていました。そろばんをやっていた経験をふまえて、また脳科学を研究する科学者という立場から、そろばんを続けることが何に役立つのか回答します。こつこつ練習することで、以下にあげる多くの「力」を手に入れることができるのです。
1. そろばんは頭で覚えるものではなく、体で覚えるものです。玉を正確にはじくうちに、手の動かし方が上手になり、手先が「器用」になります。小学生は脳が発達する時期であり、手先が器用になるということは、脳をうまく発達させているということです。
2. そろばんは問題を見て解くのではなく、聞いて解くものです。そろばんをしていると、人の話を集中して聞く「集中力」が身につきます。
3. そろばんはすぐには上達しません。本当に上達する頃には「忍耐力」も身についています。
4. 上達すると、実際のそろばんを使わなくても、頭の中で玉をはじいて計算する「暗算力」がつきます。大人でもできない計算を瞬時に暗算でできるのはとてもかっこいいことです。
5. 算数(中学からは数学)が得意になり、大人になってできる仕事の選択肢、つまり「将来の夢」が広がります。
私はそろばんをすることで数字が好きになり、毎日の登下校で車のナンバープレートを見て引き算をするようになりました。それに飽きたらナンバープレートを見て足し算、さらにはかけ算をして楽しんでいました。登下校で暗算をするうちに、いつのまにか圧倒的な数学の力がつき、それは今、脳科学者をしていることにつながっていますが、全てはそろばんから始まりました。そろばんを続けることが大きな力につながると信じて、まずは上達を実感できるまで、そろばんを続けてみてください。
なるほど! 単に計算が速くなる、ということだけではなく、多くの力がつき、ひいては将来の仕事の選択肢が広がることもあるのですね。
アオガクプラス編集部にも、小学生の時にそろばんを習っていたという経験者がいました! 経験談をご紹介します。
最初は、級が上がるごとに級シールがもらえて、それをそろばんに貼っていくのが楽しみでした。ところが4級から3級に上がる時に検定に落ちて、自信をなくし、また友だちと遊ぶ方が楽しくなってきて、そろばん塾に行かなくなってしまった時期がありました。
ある日、母からそろばんに行かないのかと聞かれ、「行かない」と言った時、「せっかくここまでやってきたのにもったいない」と言って泣く母の後ろ姿を見て、もう一度そろばんを始めよう、と決心したシーンを今でも覚えています。その後、中学に入ってからは部活が忙しくなり、そろばんはやめることになりました。
この経験で私が言えることは、
・好きでないことはやめて、違う自分(習い事)を発見してはいかがでしょう
人生という時間を有意義に過ごした方がいいかもしれません。
・そろばんがどうして不得意なのかを考えてみましょう
自分が不得意と思っていても、先生や親が客観的に見てくれると、そんなに不得意なのではない時もあります。
もっと努力してみましょう。努力なしでは成績が上がりません。その努力が必ず次のステージへと導いてくれます。そろばんに限らず、スポーツでも勉強でも同じです。
・続けることの大切さ
“中途半端な自分” “甘えた自分”にならないように。
ここでやめてしまって、後悔をしないように。この後のあなたの生き方に関わります。
“遊びたいからそろばんはやめたい”だったら、もったいない!
■買い物などの時に便利です
買い物の計算や友人との食事での割り勘計算など、すぐに計算できて便利です。
■集中力と判断力が身につく?
制限時間内で何問正解だったか、というスピードと正確さを競うのが検定試験です。
集中力と判断力が養われたような気がします。
この後、どの道を選ぶかはあなた次第です。
あなたに良い未来が訪れるようにお祈りします。(S.T)
質問をお寄せいただき、ありがとうございました。
いただきました別の質問・疑問につきましては、可能な範囲で順次回答してまいります。
今後も、質問・疑問を募集する予定です。