Christianity キリスト教

今さらですが…イースターって何ですか?

写真(上)『復活』(シモン・チェホヴィッチ〈ポーランド語版〉画、1758年)
復活したイエス・キリストが弟子達の前に現れている場面が描かれている

 

青山学院大学法学部法学科教授、大学宗教主任  

塩谷 直也

 

クリスマスよりも重要なお祝い

愛する人が亡くなった場合、遺された人々はその日時を大切にします。それは「命日」と呼ばれ、ゆかりのある人々が集まり故人を偲びます。ご存知の通りイエスも十字架上で死去しました。当然の如く人々はイエスの「命日」を記憶し、伝承します。しかし実はその後、「命日」が吹き飛ぶほどの大変なことが起こったのです。聖書には、それが以下のように記録されています。

その日…(中略)…弟子たちは、ユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸にはみな鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。そう言って、手と脇腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ。(ヨハネによる福音書第20章19〜20節)

なんとイエスは復活なさったのです。つまりイエスは「死んで消えたのではない。今も生きている」というのです。ここに、キリスト教は成立しました。キリスト教は、逝去したイエスの言説によって成立した宗教ではありません。イエスが復活したことを祝うために集った喜びの団体(party)です。教会は、この出来事を大切に2000年間毎年お祝いしてきました。その祝祭日がイースター(復活祭)です。

私たちはイエスの誕生日、クリスマスを世界中で祝っています。実はそれ自体がイエスは「今も生きている」ことの証明でもあります(通常、亡くなった人の誕生日は祝いませんものね)。ところが、もう一つイエスには誕生日があるのです。それがイースター。この復活がなければ、キリスト教はイエスの十字架の死で終了していました。そうであればおそらく、キリスト教は十字架(命日)を覚え、過去を振り返ってばかりの小さなサークルで終わったことでしょう。しかしイエスは第二の誕生、復活を遂げたのです。ここからキリスト教は未来に眼差しを向ける集団として「爆誕」します。イエスの死を最も悲しみ、絶望の淵に立たされたペトロも、イエスの復活を目撃し、堂々と語り始めるのです。

私たちは、イエスがユダヤの地方とエルサレムでなさったことすべての証人です。人々はイエスを木に掛けて殺しましたが、神はこのイエスを三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。(使徒言行録第10章39〜40節)

また復活したイエスと出会ったパウロも、その重要性を繰り返し語ります。

キリストが復活しなかったのなら、あなたがたの信仰は空しく…(中略)…私たちは、すべての人の中で最も哀れな者となります。(コリントの信徒への手紙一 第15章17、19節)

イースターがなければ、そもそもキリスト教信仰などあり得ない、とまで断言するのです。

以上、イースターがなぜ、クリスマスよりも重要な祝祭日であるかお分かりいただけたでしょうか。

 

日本で認知度が低いのはなぜ?

ではそれほど重要なお祝いなのに、日本ではどうして認知度が低いのでしょうか。

それはやはり前述したような宗教的理解が日本で広がっていないことが考えられます。クリスマス、すなわちイエスの誕生日は誰でも理解できるでしょう。しかしそのイエスが死んで復活したこと、またそれが意味するところは一定の聖書理解がないと受け入れ難い部分があります。受け入れられないことを、わざわざお祝いする気分にもならない、その必然も感じられないということでしょうか。

さらにイースターが移動祝祭日であることも理由として考えられます。イースターは3世紀ぐらいからユダヤ教の過越祭の頃に祝うことが広まり、4世紀から春分後の最初の満月の次の日曜日とすることが定着したようです。クリスマスは12月25日と決まっていますが、イースターは毎年その日付が変わり、最大で1ヶ月ほど、3月から4月にかけて移動します。販売されている手帳やカレンダーにそれらが記されていることも少ないですし、わざわざイースターの日付を個人で毎年調べるのも面倒です。日付が分からなければ祝いようもありませんし、その日を迎えるワクワク感も遠のいてしまうのではないでしょうか。

ちなみに2026年のイースターは、4月5日(日)です。

 

青山学院イースター礼拝の様子


幼稚園

初等部

中等部

高等部

 

うさぎ、タマゴに百合の花

しかしながらイースターは、私たちの人生に重要なメッセージ「死は終わりではない、すなわち絶望は絶望で決して終わらない」ことを年に一度教えてくれる貴重な機会です。朝の来ない夜はない、冬の後には必ず春が来ることを信じ、勇気を与えられ、お互い励まし合い、慰め合うのがイースター。この祝いは、新しい年度に向けて一歩を踏み出す全ての人にとって大切な節目となります。

古来、その使信をいくつかのシンボルで教会は表現してきました。

・うさぎ:多産のうさぎは、次々と生まれてくる命を象徴します。


幼稚園のうさぎ「おーすけ」

・タマゴ:こちらも命と復活の象徴です。装飾されたイースターエッグとして配られます。

・百合の花:死んだかのように見える球根から、みずみずしい芽が出て、花となる。それは人々に復活(再生)を説明する最良の「視覚教材」でした。ちなみにキリスト教の葬儀では、この百合が好んで飾られます。


イラスト:幼稚園教諭作

 

クリスマスはケーキが定着しましたが、イースターではうさぎの置物やぬいぐるみ、飾られたタマゴ(卵料理?)、そして百合の花をテーブルに配して、ご自宅でささやかな復活祭をされたらいかがでしょう。春のスタートにふさわしい、エネルギーをチャージする素敵なひとときとなることでしょう。

 

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