青山学院のステンドグラス〈5〉 大学 相模原キャンパス
2021/02/26
相模原キャンパスの中央に位置するウェスレー・チャペル。礼拝堂内にあるステンドグラスは、1982年に厚木キャンパスが開設された際に設置された一部が、2003年の相模原キャンパス開設時に移設しました。
デザインは滝澤やまとさん、制作は大竹ステンドグラスによるもので、ステンドグラスにはイエス・キリストの生涯が「告知」から「昇天」までの10場面に分かれて描かれています。天上の神の恩恵が地上の者たちに拡がっていく様子が、雲形模様によって見事に描き出されており、1500ピースにもおよぶガラスの色合いが美しく変化して見る者の心を惹きつけます。
ステンドグラスのデザインを担当した滝澤やまとさんは1928年、神奈川県横浜市に生まれました。高校生の頃より絵画に魅了され、女子美術専門学校(現・女子美術大学)日本画学科に進学、卒業後は大日美術院展にて佳作入賞するなどその才能が評価されてきました。ステンドグラスを手掛けるようになったのは、夫で建築家の滝澤健児さん(国士舘大学名誉教授)が設計した住宅にステンドグラスを取り入れたことがきっかけでした。
滝澤さんは、ウェスレー・チャペルのステンドグラスのデザインに着手する際、イメージを膨らませようと厚木に赴いたときのことを「作品へのてがかりを求めて、はじめて厚木の地に立ったとき、夕暮れの中に霧がたちこめてきたのが強い印象となり、画面上部の円を中心に霧をたなびかせ、その霧のようにキリストの教えが人々に広がってゆく情景をイメージの根幹においた。礼拝堂全体は八角形になっており、10面が2面ずつ対になって納まり、祭壇に立つとそれら全体が一望できる。各場面の内容にあわせてそれぞれ基調色を決め、連続性を尊重して隣どうしには色をお互いに入れ込む手法を用いながら、全体としては静寂を思わせるように、随所に青を配して統一した」とご自身の著書『清ら影 滝澤やまとステンドグラス作品集』の中で述べています。
制作にかけられた時間がわずか6カ月と短い期間だったため、人物画などは滝澤さんの原画スケッチに沿ったデッサンを洋画家の三輪勇之助さんにお願いしたそうです。
厚木キャンパス ウェスレー・チャペル(当時)
のちに滝澤さんは「青山学院大学厚木キャンパスのウェスレー・チャペルが、ステンドグラス制作に携わってからの一番大きな仕事だった」と語っています。
〈参考文献〉
『清ら影 滝澤やまとステンドグラス作品集』滝澤やまと著 2004年 鳳山社