Now

マーケティングリサーチとは?~高等部で学ぶマーケティングリサーチ

青山学院高等部

青山学院高等部では進路を考える機会とするための学問入門講座をオンライン(オンデマンド)形式で開講しています。大学の教員が、専門分野の学問を分かりやすく講義するもので、2003年よりはじまり、現在では年間約30講座が開講されています。この度、高大連携の1つとして高等部の「マーケティング」の授業の中で特徴的な授業が行われることとなりました。

「マーケティングリサーチ」とは

「マーケティングリサーチ」(市場調査)はビジネス界と関係がなければ、あまり馴染みのないものですが、実は日常におけるさまざまなものごとはデータサイエンスに基づいていることが多いのです。そのことが理解できるよう、青山学院大学経営学部の全面協力と株式会社インテージホールディングスの支援により高等部における今回の特別な授業が実現しました。

2024年11月20日、高等部3年生の「マーケティング」の授業が行われる教室では、あらかじめ4つの班が作られていました。これは経営学部横山暁教授のマーケティングの授業の前に、カードを使ったゲームを通じ「市場調査」(マーケティングリサーチ)の疑似体験をするためです。

特別授業は藤本晃裕先生の「マーケティング」の授業の中で行われた

 

株式会社インテージホールディングスの研究員でカードゲームの開発者である小林春佳氏が教壇に立ち、会社紹介、そしてマーケティングリサーチとは「会社がモノやサービスを売るための仕組みをつくる」ことであると説明しました。

株式会社インテージホールディングスの小林氏

 

カードゲームのルールとプレイ方法の説明を聞きながら、配られたカードを箱から出すチームも

 

このカードゲームは、5つの国に5種類のアイスを売り上げるために情報収集し(リサーチカードの情報から分析を行う)、最終的なアイスの売り上げ数を競うというもので、本年度、日本統計学会から「重要課題となっている産学連携のデータサイエンス教育支援活動に大きく貢献している」として「教育賞」を受賞しています。
運や勘だけでは決して高得点を挙げることはできず、きちんと「仮説」を立て、「情報」を収集・分析していかないとなりません。

 

団体戦(班対決)ということで、分析に力を入れるチームや、とにかく販売に力を入れるチームなど戦略は様々。教室のあちこちから「この国の詳細なデータがあれば欲しいな」「ここの国の売り上げ合計を誰か持ってない?」「たぶん私、有益な情報を持っていると思うんだけど」などと声が上がります。

時間が経つにつれ情報の収集と分析が進み、アイスの販売をするたびに「えー、この情報いらないのに」「そこにそれを売るの?」「量が多すぎる!」など、休み時間もおかまいなしに白熱していきました。

最後の売り上げ集計時間まで大盛り上がりで行われたカードゲーム。結果は情報を集めつつ、思い切った販売を行った班が優勝しました。情報収集と分析をバランスよく組み合わせたチームは僅差で2位という結果に。

ゲーム終了後に、小林氏よりゲームで高得点を挙げられた(あるいは挙げられなかった)理由についての解説がなされました。それと共に、「マーケティングリサーチでは、まず仮説を立てること。立てた仮説と収集したデータの選択が適切だったかを照らし合わせること。そして仮説をいくつかのデータから分析することが大切です」と語られ、マーケティングリサーチにおける重要なことが伝えられました。

小林氏による解説が終わると、経営学部の横山教授が教壇に上り、マーケティングの概要、調査について集められるデータとデータ分析から分かることや、データ集計分析のポイントなどがテンポよく分かりやすく語られました。生徒たちは興味深く聞き入っており、「論理的な思考は絶対的に必要です。みなさんは様々なことに興味をもって、色々なことを学んでください」とのメッセージが最後に伝えられました。

横山教授による授業

マーケティングリサーチを楽しみながら学んだ高等部3年生たちの生き生きとした表情が印象的でした。来年から大学に進学する彼ら彼女らにとって、今日の一日の学びは将来を明るく照らし、いつの日か役立つものとなることでしょう。

授業レポート(文/聖 photo/茂)

授業終了後、高等部生たちと話をする久保田進彦経営学部長(写真左)と横山教授(写真後方右)