日本初の4-4-4制を導入 「英語の青山」に期待すること

木村　最後に、青山学院の英語教育に期待することをお聞かせください。

嶋津　今後は、CLILを用いた指導をしていくことが大事になっていくと思います。これまでは英語で色を学ぶとしたら「何色が好き？」「青」というやりとりでした。これがCLILになると「色でサイエンスを学ぶ」形になるので、「青と黄色が混ざると何色になる？」というような問いかけになります。
青山学院の「4-4-4一貫制英語教育」は、初等部から高等部まで連携している日本では珍しいタイプですから、期待しています。

髙木　「英語の青山」と言われるように、本学には英語教育の伝統があります。最近、初等部、中等部、高等部の先生方と、それぞれの段階で異文化間能力を育成するために実践していることを話し合ったところ、非常に多様ながら共通するものも多いことが分かりました。この部分の一貫教育を、より重視して行うと良いのではと思います。大学については、これまではそれぞれの学部ごとに英語教育のカリキュラムを構築してきたと思います。今後は各学部の伝統や蓄積も生かしつつ、横の連携も一層強化できれば良いのではないでしょうか。
また、グローバルかつグローカルを考慮し、すべてのレベルの児童、生徒、学生が輝けるよう、個人の資質を伸ばせるような教育をお願いしたいですね。教育は全ての基礎ですから、個人差と多様性の尊重、異質なものを受け入れる寛容性を重視して、本学あるいは地域社会、日本の未来のために教育が進められることを期待しています。

木村　4-4-4一貫制英語教育構想は学内外の英語教育にまつわる諸問題を解決するために、6-3-3制に代わる教育システムとして提案したもので、全国の一貫制教育に少なからぬ影響を与えてきました。しかし、青山の教育環境から生まれたものゆえ、どちらかと言うと国内版であり、グローバル化対応のためには、今まさにCEFRの理念に沿った国際版が必要になってきました。この課題を、髙木先生と合田紀子先生（初等部）、小田文信先生（中等部）、三ツ木京子先生（高等部）に委ね、本年度末の完成を楽しみにしているところです（広報部注・2017年度完成済）。
本日は、髙木先生と嶋津さんから貴重なお話を伺うことができました。今後とも青山学院の英語教育を推進するため、お力をお貸しください。有難うございました。

木村松雄教授

【Profile】
青山学院大学文学部英米文学科教授、青山学院英語教育研究センター所長
青山学院大学文学部英米文学科卒業、国立兵庫教育大学大学院学校教育研究科言語系（英語教育学）修了。東京大学教育学部附属中高等学校文部教官教諭・東京大学教育学部講師を経て現職。青山学院大学総合研究所人文科学研究部長等を歴任。大学英語教育学会（JACET）本部理事・関東支部長。文部科学省高等教育局大学設置審議委員会委員（外国語）、NHK「基礎英語」等３番組の講師、東京都「英語村（Tokyo Global Gateway）」構想・事業審査委員、全英連全国高等学校英語スピーチコンテスト審査委員。専門は英語教育学（方法論・評価論・政策論）。

髙木 亜希子教授

【Profile】
青山学院大学教育人間科学部教授
金沢大学大学院教育学研究科修士課程修了、ニューヨーク州立大学バッファロー校大学院教育学研究科修士課程修了、エクセター大学大学院教育学研究科博士課程修了。獨協大学外国語学部英語学科特任講師、大阪教育大学教育学部教員養成課程英語教育講座准教授などを経て現職。研究テーマは英語科教員養成における教師の省察ほか。

嶋津 幸樹さん

【Profile】
英語教育起業家（校友）
青山学院大学文学部英米文学科卒業。在学中オックスフォード大学ELT 英語教員研修に最年少参加。ケンブリッジ英語教員資格CELTA を取得。海外進学塾EUGENIC 創業者。世界で最もイノベーティブな教育を実践する英語教師に贈られる『Pearson ELT 英語教育ティーチャーアワード2017』受賞。現在はロンドン大学教育研究所に在籍し国内外で英語教育の活動を実施。

【嶋津さん関連ページへのリンク】
嶋津幸樹さんオフィシャルサイト

●著書
『中・高6年分の英単語Roots』（Jリサーチ出版）

『コロケーションで身につく単語力！IELTS必ず☆でる単スピードマスター超必須の英単語1500』（Jリサーチ出版）

『IELTSライティング完全対策』（DHC）