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創立150周年おめでとう~初等部給食室から愛をこめて

2024年11月16日、青山学院は創立150周年を迎えました。
それを記念して、さまざまなイベントが催される中、初等部では給食で150周年をお祝いしました。

150周年記念メニュー

創立記念日の前日、11月15日に特別メニューが提供されました。
題して「青山学院創立150周年記念メニュー」。
主菜はお祝いにぴったりの「松風焼き」。「隠し事のない、正直な生き方ができるように」という意味があるとのことで、給食プロジェクト*と共に考え、提供することを決めたそうです。大きく切り分けられた「松風焼き」に副菜の五色和えが彩りを添えます。

*5、6年生の行う総合活動(委員会活動の発展した活動)の1つ。食に関する情報を発信したり、給食室の助けを得て新しい献立を開発したりすることで、全校児童が食についての理解を深め、食への興味関心を高めることを目的として活動しています。

創立記念日メニュー
おまんじゅうの敷紙に書かれた言葉と文字のデザインは子どもたちが考案したもの

 

また、創立記念をお祝いするこの日だけはデザートも特別です。「お祝いリンゴ」と「紅白まんじゅう」の2種類がテーブルに上ります。

お祝いリンゴ

 

赤いリンゴの皮に白地で学院の校章にも用いられている“信仰の盾”のマークが入ったお祝いリンゴ。これは給食室の先生方が、特別に作ってくれる農家さんを探して、作っていただいたもの。お祝いリンゴの美しいマークに子どもたちの目が輝きます。切り分ける前に、何度も眺めていました。
そして真っ赤なお祝いリンゴとともにかわいい紅白まんじゅうが花を添えます。これは入学式の時に配られたおまんじゅうのミニサイズ版で、子どもたちが考えたメニューの1つ。この日のために和菓子屋さんに特別にお願いして作っていただいたものです。真っ赤なお祝いリンゴと共にお祝い気分をより盛り上げてくれました。

切り分ける前に、先生のもつトレーの中のリンゴを見つめる児童

 

 

教室では、みんなで食前祈祷を捧げたのち、和やかに食事が始まりました。
一方、食堂(スクーンメーカーホール)で食事がはじまると、代表の児童4人が前に出てきて、1人が司会を行い、他の3人が給食のメニューについてや特別支援学校に赴いた際に学んだことについて、そして創立記念日についての話をしました。「青山学院は明日150周年を迎えます。3つの大変な時期を乗り越えてきた昔の人たちに感謝し、創立記念日を迎えましょう」と話すと、食堂中で拍手が起こりました。
初等部児童それぞれが青山学院150周年に思いを馳せ、学院を創立した人々、苦難の時を乗り越えた人々に感謝しながらいただきました。

 

津田仙先生特別メニュー

11月19日には、創立150周年記念メニューの第2弾として、津田仙先生が日本に紹介した西洋野菜などを使用した給食が供されました。
青山学院の創設者の1人で女子小学校を創立したドーラ・E・スクーンメーカーを助けた人物が津田仙先生です。津田梅子さんの父親であり、農学者でもあった津田仙先生はアメリカに渡り、男女平等の精神や農業について学びました。帰国後、津田先生は、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなどを日本に紹介し、また日本で初めてアスパラガスやイチゴの栽培に成功しました。
給食では、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーを使用したポトフやイチゴなどが提供され、代表児童による津田仙先生の紹介と給食のメニューについての説明がありました。「普段食べている西洋野菜やイチゴが日本に広まったのは、津田仙先生のおかげです」。食前の感謝の祈りを捧げていただきました。

津田仙先生特別メニュー

 

青山学院初等部の給食

初等部の給食の大きな特徴は、化学調味料を使わず、加工品をできる限り用いず、なんでも極力手作りされていることです。そのための手間暇を惜しまず、子どもたちの健やかな体と心を願い作られています。
また、大切な食事を無駄にしないよう、手をつける前に、量を調節する「お減らし」も特徴的です。子どもたちは、自分の食べられる分だけをいただくということを学びます。

食べられる分だけをいただく

 

また、食堂では、2学年が一緒に食事をします。1テーブルには異なる学年の児童たちが混じって座り、食事を取り分けて給食をいただきます。量を食べられない子やたくさん食べたい子等、それぞれの事情や要望に従い、協力し合って取り分けながらテーブルを囲む姿は、まるで1つの家族のようです。

 

創立記念日のある期間、食堂で食事をする2学年は2年生と6年生でしたが、時期により組み合わせはまちまちだそうです。雪の学校など学年を超えて行う行事も多いため、給食を食べる時も、さまざまな学年同士で話ができるよう、組み合わせているといいます。同じクラスや同学年の友だちとだけではなく、異学年の児童とも話をすることによって、コミュニケーション力が身についていくのだそうです。

 

特別メニューが供される日は、児童によるスピーチがあるのも特徴的です。児童たちはメニューについての説明をするため、事前に給食室の先生にインタビューを行い、原稿を作成し、発表を行います。教室で食事をする学年のために、動画も作成して、全児童で給食についての情報を分かち合います。
食を通じ、マナーをはじめ、メニューや食材についてなど様々なことを学ぶ初等部の給食は、いつでも温かい手作りの優しさで子どもたちの学校生活を支えてくれています。

授業レポート(文/聖 photo/茂・美)

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