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オリジナルゲーム作り2~その②【プロプロ☆プログラミング~初等部プログラミング教室を追え~episode 4】

プロプロ☆プログラミングへようこそ

2021年から本格的に始まった青山学院初等部のプログラミング教育も早1年。
5年生になった青山学院初等部生たちは格段に難しくなったプログラミング授業に奮闘している。

2022年、秋――。
ついにオリジナルゲーム作りに挑戦することになった。

2021年(当時4年生の時)にも挑戦したオリジナルゲーム作りだが、昨年との違いは、グループ作業からペアで作業することになったこと。そして発表の方法も一工夫あるという。

2022年10月某日、(5年梅組の授業)に続き、桜組の授業を取材した。

5年桜組登場!!

5年桜組――2時限目開始前には、全員ビシッと着席し、タブレットをWiFiに接続させながら、井村裕先生が何をするのか見つめている。

2時限目の授業が始まると井村先生は、5年梅組にしたのと同じ説明を行った。

──今回の課題については

  • 2人で遊べること
  • 発表はポスターセッションとし、全員が必ず発表すること

──基となるゲームについては

5つのゲームのうち、1つを選んで改造していきます。

  • お題A:ドラゴンが左右キーで動き、スペースキーで攻撃を加えられる。
  • お題B:左右キーで動き、スペースキーで雷を打てる。
  • お題C:文字を重ねることができる。
  • お題D:Q and A クイズを出せる。
  • お題E:クマとネコ。ネコをマウスで動かし、クマから逃げる。

──改造のポイントは?

2人で遊べるようにすること
☞スコアを用意したり、操作できるキャラを増やすなどの工夫が必要

クオリティを上げること
☞アイテムや敵キャラを増やす、スタートやエンディング画面を作るなどの工夫が必要

遊びやすさを上げること
☞ハンデ機能をつけたり、難易度を変えられるようにしたりするなどの工夫が必要

となる。

井村先生が説明を終えると、みんなすぐにペアでの作業を始めた。

実は今日のこのクラス、自宅から授業に参加している児童もいるという。
見るとコンピュータ室で出席している児童が、配られたプリントをタブレットのカメラに向けている。カメラに向けて自宅から参加している児童に見せているのだ。どうやらお題Aを選択するらしく、ドラゴンの大きさを50にするか70にするか話し合った後、
「お互いにプログラムを作って、見せ合おうよ。それで良いところを合わせていくってのはどう?」
と、今後の計画を話し始めた。

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遠隔で話し合う児童。空いている席に置いてあるタブレットでつないでいる。

 
また、どのゲームにするかの話し合いで、なんと提示されたゲームで勝った方の意見を通すことに決めたペアも。
勝敗が決し、結局お題Eに決めたようだ。

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「2人で遊ぶ」
というテーマに苦戦しているペアには、井村先生が画面を覗きながら、
「キーボードを半分に分けて、動かすというのもあるからね」
と声をかける。

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線で左右二分割にされた画面には、キャラクターが1体ずつ、さゆうぞれぞれにいる。
児童の1人が矢印キーを打つと、左右に仕切られた画面上のキャラクターも同時に動いていく。
「右と左に画面を分けたのに、キャラクターが同時に動いちゃうよ」
するとペアのもう1人が、
「キーを変えないと同時に動くんだよ。でもこれはこれで面白いからいいかも」
その言葉に2人の話し合いが続く。
やがて
「これなら完璧!」
という声が2人同時に上がった。「2人で遊ぶ」秘策が出来上がったらしい。

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ドラゴンの色を変えたり、キャラクターを変えたり、タブレット画面上のゲーム背景が宇宙空間やステージなど色とりどりになる中、お題Dを選んだペアのモノトーンの画面が異彩を放っていた。
1人がプログラムを組む中、もう1人が参考となるクイズをネット上で探しているのだ。難しい漢字に焦点を当てているらしく、頭を抱えながら、参考にする資料をサイトで閲覧している。

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「それでは保存して、プリントは撮影して提出して」

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井村先生の声が響く。
あっという間に授業が終わったらしく、熱中していた児童達の真剣な目がハッとしたように前を向く。
「5種類のゲームはTeamsの課題にも入っているから、後で見直せるよ」

授業が終わると、児童達は休み時間へと駆け出した。
次回から、発表日まで実際にゲームの改造と発表資料の作成に入る。

授業終了後、2クラスを見学していた大学教育人間科学部教育学科教授・杉本卓先生と大学院生2名に話を聞いた。