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オリジナルゲーム作り2~その④【プロプロ☆プログラミング~初等部プログラミング教室を追え~episode 4】

プロプロ☆プログラミングへようこそ

2021年から本格的に始まった青山学院初等部のプログラミング教育も早1年。
5年生になった青山学院初等部生たちは格段に難しくなったプログラミング授業に奮闘している。

2022年、秋――。
ついにオリジナルゲーム作りに挑戦することになった。

約1年前(当時4年生の時)にも挑戦したオリジナルゲーム作りだが、昨年との違いは、4人(ないし3人)のグループ作業から2人1組(または3人1組)で作業することになったこと。そして発表の方法にも一工夫あるという。

11月某日2回目の授業が行われる5年梅組と桜組を取材した。(これまでの授業について、5年梅組の1回目はこちらから、5年桜組の1回目はこちらから)

5年梅組第2回の授業

冷たい雨の降りしきる11月のある火曜日、まるで師走並みの寒い朝だが、メディアルームは活気を帯びている。
まだ1時限目の授業開始前だが、5年梅組の児童たちはみな着席し、タブレット画面には作りかけのゲームやプログラムを表示させている。

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やる気がみなぎっているらしく、ほとんどの児童たちが既にゲーム作りを始めている。
コンピュータ係の児童のあいさつと共に授業が始まると、井村裕先生が口を開いた。
「前回は5種類のゲーム、お題A~Eから1つを選び、そのゲームを改造するスケジュールを立ててもらった。既にゲームの改造を始めていたペアもあると思うけど、今日は基本的には前回の続きを行ってください。お題Aでつくっていたものにお題Bを足してもいいよ。ただし学校で作るゲームの範囲に留めてね。また、今日からキャラクターを変えてもいいけど、元々あるアニメのキャラクターを加えるのは著作権法の違反になるからダメだよ。自分たちでつくったオリジナルのキャラクターやScratch(学習プログラミングツール言語)上にあるものを足していくのは良いからね。あと発表資料を作る場合はTeams(チームにおけるコミュニケーションツール。資料共有などもできる)にあるスライドを利用して……」
井村先生は説明しながら、Teams上に保存されているパワーポイントの資料を開く。

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「発表資料スライドにまとめてもらうけど、プリントアウトした紙を貼って発表することを考えて作ってね。パワーポイント上の動きは盛りこめない(アニメーションはつけられない)からね。あと、このスライドは共同編集可能だよ」
共同編集と聞いても、児童たちはもちろん驚くことはない。
井村先生の「それでは始めて」という声がかかると、ゲーム作りが始まった。

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「動きはもうできたからいいよ、点数を決めていこう」
とあるペアの声が聞こえてきた。
スコアを競うゲームを作っているらしい。

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ゲーム作りの重要ポイントとなるキャラクターのデザインやキャラクターたちが動く背景を細かに設定するペアもある。

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キャラクターデザインだけではなく、その動きにもこだわるグループは左右キーだけではなく、別のキーを使って動くようにしたいと先生に相談をしている。

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先生からのアドバイスを受けた途端、「なるほど」と華やかな声が上がった。
後で井村先生に聞いたところによると、授業で教えたことの応用だそうだ。
ゲーム作りを通して、習った以上のことが引き出されている。

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授業開始から20分もすると、ゲームを作りながらメモを取っていたペアが早くも発表資料を作り始めた。

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ペア内でゲームを作る係と発表資料を作る係に分かれて作業を進めていくようだ。
ゲームを完全に作ってからではなく、作りながら発表資料を作っていく、というやり方だ。
大人だと、出来上がったゲームを基に、発表資料を整えていく方法を取るのがほとんどだと思うが、児童たちの考えは柔軟だ。
ゲームを作り、動かし、少しずつ変えながら、それを資料化していく。

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ゲームを作りながら、発表資料を作るペア

 
徐々に発表資料に着手し始めるペアが増えてきた。
ゲームを作りながら発表資料を作り込んでいくという同時進行の形式は、ほとんどのペアが採用している。
1人がゲームを作り、もう1人が改造のポイントやゲームのルールを資料に入力している。

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パワーポイントの画面を工夫している児童たちに先生が
「発表はポスターセッション。紙を貼って、発表してもらうから、動きを作りこんでも表現できないよ」
と声をかける。すると、
「それでしたら、発表資料をワードで作ってもいいですか?」
と聞く児童がいた。質問だけを聞いていると、ここが小学校の5年生の教室であることを忘れてしまう。

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ゲームのデザインに凝ったり、発表資料を作成し始めたりするペアがほとんどの中、作ったゲームで対戦し、微調整を行うことで完成度を高めているペアもいる。

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授業が終わりに近づき、
「一旦作ったゲームを保存して」
と、先生の声が飛んだ。
ゲームやプログラムを操作しながら、いかにも名残惜しそうにする児童たちも。
しかし桜組の児童たちがやってくる前には、次の教室へ移動していった。

 

5年桜組第2回の授業

2時限目授業開始前、5年桜組の児童達がやってきた。
梅組同様、タブレットをWiFiに接続させて、静かに授業開始を待っている。

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2時限目の授業が始まると井村先生は、5年梅組にしたのと同じ説明(基本的には、キャラクターの変更などゲーム作りの続きであること。発表資料を作り始められること。その他、注意点についての説明)を行う。児童たちは頷きながら先生を食い入るように見つめている。

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先生の号令と共に、各ペアは作りかけのゲームを開き始めた。

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前回、キャラクターが同時に動いてしまうことに苦戦しつつも、画面を二分割し2人同時に遊べるゲームの秘策を思いついたペアの画面を覗くと、

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「青い雷が消えない」と次の難題にぶつかっていた。
このペア、画面とキーボードを二分割し、同時に操作できるようにし、スコアを競うゲームを作っているようだ。

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クイズ(のゲーム作り)に取り組むペアは、難読漢字の検索を続けていた。
どの難読漢字をクイズに出すか話し合って決めるようだ。

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30分経つと、発表資料を作るペアが増え、実にクラスの3分の1が発表資料を作り始めている。
やはりゲームを作りこみながら、工夫したポイントやルール等を資料に入力している。

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5年梅組同様、キャラクターのデザインの詳細を変えたり、発表資料に着手したりするペアがいる中、手を挙げて質問をするペアが続出。
後で井村先生にどんな質問が出ているのかと聞いたところ、ゲームのスコアやキャラクターの動きについての質問が多かったそうだ。

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他のペア(やグループ)に比べ明らかに複雑なプログラムを組んでいるペアは交互に遊べる(対戦できる)ようにするらしい。

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オセロゲーム式にしたり、第1~3ステージへと進ませたり、スコアで競うゲームにしたり、いくつかのペア(またはグループ)では他にはない特別な工夫が見られる。

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授業が終わりに近づき、
「一旦作ったゲームを保存して」
と、井村先生が声をかけると、「全然進んでいない」という焦りにも似た声が上がった。
授業が終わっても、先生に質問をする児童、ゲームの作りこみを続ける児童やゲームを操作し完成度を確認する児童たちが残っていた。

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ゲーム作りにかけられる時間(授業)もあと2回。
いや、2回目の授業終了時には提出しなければいけないのだから実質あと1回半くらいだろうか。

前回から背景やキャラクターを全部変えてしまったペアがいたり、お互いに黙々と作りこみを続けるペア、同じゲームを作っているはずなのに、それぞれ画面に表示されている画が違うペアがいたりと、この後の展開が気になるところだ。