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忘れ物問題をプログラミングで解決せよ~その②【プロプロ☆プログラミング~初等部プログラミング教室を追え~episode 5】

プロプロ☆プログラミングへようこそ

2021年度から本格的に始まった青山学院初等部のプログラミング教育。
2年間のプログラミング授業を経て大きく成長した青山学院初等部生たちは、
2023年最終学年6年生となり、ついに集大成とも言うべき課題に取り組むこととなった。

6年桜組の教室へ、ふたたび

2023年、10月——
「忘れ物をなくす」
というテーマを基に10月~12月にかけて授業が行われるという。
今日はいよいよ、理想のアプリ完成を目指しアイデア出しが行われる。

11時少し前、6年桜組の教室に到着すると、教室内は相変わらず柔らかな太陽の光に包まれていた。
ちょうど井村裕先生が
「班ごと席を移動して」
と声をかけているところだった。

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児童達の移動が終わると、再び井村先生が口を開いた。
「前回はどんな忘れ物が多いか発表したよね。このクラスは特別なことがあった時や特別な物を忘れやすいことが分かった。その解決策としては忘れないよう記憶できたり、教えてくれたりするものが欲しいという声が多かったね。今日の授業では忘れ物をしないようにするためのアプリに、どんな機能が必要か班ごとに考えてもらうよ。できるかできないかは考えずにアイデアを出してほしい」
井村先生の言葉に児童達が頷く。

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井村先生が電子黒板を指しながら、
「ノートブックの中の一番下にリンクがあります。中にあるプログラムを見て、追加したい機能を書いていってください。1人が代表して書くようにしてね、そうしたら後で班の皆のファイルにコピーしておくから。ちなみに他のクラスでは、理想のイメージデザインを絵で描いた班もありました。みんなもどんどん『あったらいいな』という機能を出していってね」

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班ごとの話し合いが始まった。

白熱する話し合い

1つのタブレット画面に集まって話し合いを進める班もあれば、それぞれがタブレットの画面を見ながら意見を出し合う班もあり、話し合いのスタイルは様々だ。

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ある班の話し声が聞こえてきた。
「テスト勉強の範囲を教えてくれるのは?」
「いいね。それからテストを手伝ってくれるとか? テストの点をこっそり変えてくれるとか?」
「ええっ、それはドラえもんだよ。そんなのできないよ」
「じゃあ初心に帰って、何も言わず成長を見守るアプリは?」
かなり独創的なアイデアが出されているようだ。

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別の班を覗いてみると、
「具体的に書くのは?」
「そうだね、それから音声をつけるのは?」
と、着実な方法への話し合いが進められている。

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話し合いの時間が進んでくると、回り込んで画面を覗き合うなど活発な動きが見え始める。

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そんな中、「忘れ物をなくす」という本来のアプリの目的に加え、アプリの利用を促すために工夫を施す班が出てきた。
「自分で考えるように、思い出させるようにクイズを出すのは?」
「いいね! プログラムを作って、さらに音声をつけよう」

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アプリの利用に工夫を施すのは、他の班でも見られ、
「忘れ物をしないと何かもらえるってのはどう?」
「何かって?」
「ポイントとか?」
と話し合いが白熱している。

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忘れ物をなくすだけではなく、プラスαの価値を付加しようとする班も登場。
「忘れ物をチェックしつつ、他の言葉も覚えられるのはどう? 英語とその翻訳を書いておいて、覚えるとか」
「英語以外は? 今は多様性の時代だからさ、ルーマニア語とかヒンディー語とかスワヒリ語とかを覚えられるのは?」
「難しすぎるよ。でも毎日チェックするとポイントが貯まるっていうのはどう? ゲーム感覚でできるんじゃない?」

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そんな中、デザイン性にこだわる班は具体的なデザインにまで話を進めているようだ。
「アバターを選択できるようにしようよ」
覗いてみると、既に画面にはキャラクターがいくつも表示されている。

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また違う班では、
「キャラデザ(キャラクターデザイン)に迷うね。忘れ物をペンギンに確認されるより、猫に確認される方が良くない?」
「ホラーテイストは?」
「ホラーだと怖くて苦手な人がいるから、ほんわかホラーは?」

独創的なアイデアが飛び交う中、
「QRコードを使うのは?」
「QRコードは難しいよ。それなら写真でよくない? 筆箱をカメラにかざしたら認識してくれるようにするとかは?」
アプリ実装に向けた話し合いを始める班も出てきた。

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「写真を撮ったら、リストを作ってくれるようにするのは?」
「予め作っておいたリストを基に確認してくれるようにする。カメラの前に鉛筆をかざしたら、削るように言ってくれるとか?」

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話し合いが盛り上がる中、井村先生が、間もなく授業が終わることを告げ、
「この授業はあと4回ありますが、最後の回は発表をしてもらいます。だから3回かけてプログラムと発表資料を作ります。次回はコンピュータ室に移動して、いよいよプログラム作りに入るからね」
と言い、あっという間に40分の授業が終了した。

独創的なアイデアがどう形になっていくのか、早くも発表の回が楽しみである。

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