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オリジナルゲーム作り2~その⑤【プロプロ☆プログラミング~初等部プログラミング教室を追え~episode 4】

プロプロ☆プログラミングへようこそ

2021年から本格的に始まった青山学院初等部のプログラミング教育も早1年。
5年生になった青山学院初等部生たちは格段に難しくなったプログラミング授業に奮闘している。

2022年、秋――。
ついにオリジナルゲーム作りに挑戦することになった。

約1年前(2021年当時4年生の時)にも挑戦したオリジナルゲーム作りだが、今回は、
☆元となる5つのお題の中から好きなものを選び、「2人で遊べるゲーム」に改造すること。
☆4人(ないし3人)のグループ作業から2人1組(または3人1組)で作業することになったこと。
そして発表の方法にも一工夫あるという。

12月、ついに発表会が行われると聞きつけ、5年梅組と桜組の授業が行われるメディアルームに向かった。(今までのエピソードについては5年梅組の1回目5年桜組の1回目両組の2回目は各リンク先からご覧ください)

5年桜組の発表

細かな雨がまとわりつくように降る12月某日。
吐く息までが白く凍る冬真っ只中の朝、メディアルームは静けさに包まれていた。
井村裕先生が黙々と5年桜組の児童を迎え入れる準備を進めている。

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いつもとは雰囲気の違う教室に、
「今日は1つの机にペアで座るように配置しました」
と、井村先生が説明してくれた。
なるほど、教室を見渡すと机1つに対し椅子が二脚配置され、移動式のホワイトボードが教室の両脇に4枚ずつ並べられている。
ここはもう教室というよりポスターセッションの会場だ。

そこへ青山学院初等部と3年間のパートナーシップ協定を結んでいる株式会社CA Tech Kidsの上野代表取締役社長、教材開発者の松倉さん、神田さん、広報の真下さん、そしてサイバーエージェントの浮田さんが現れた。みんな今日の発表会の見学にいらしたのだ。

その時、礼拝とHR(ホームルーム)、朝の読書を終えた5年桜組の児童達がやってきた。
「おはようございます」
と元気よく挨拶をする。
この時初めて目にする大人もいると思うが、児童たちは挨拶を欠かさない。
最初に初等部を訪れた時、階段や廊下で、すれ違う児童から頭を下げて挨拶され、偶然か(人違いか)と思ったが、そうではないと今はわかる。
そんな児童たちに井村先生が声をかける。

「向かって左側がAグループで右側がDグループになるように座って」
井村先生の指示で、児童たちは素早く着席する。

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「今日はホワイトボードに発表資料を貼って、その前でゲームの説明をしてもらう。授業時間を前半と後半に分けるから、前半にゲームの説明をする人と、後半にゲームの説明をする人を決めて。自分がゲームの説明をしていない時は他のグループの発表を見に行くように。AグループとBグループの人は必ずCグループとDグループを見に行くように、反対にCグループとDグループの人は必ずAグループとBグループを見に行くようにして。そして後で、どこのグループの説明が分かりやすかったか、どこのグループの資料が見やすかったかを投票してもらうよ」
井村先生が投票の画面をスクリーンに映すと、児童たちは食い入るように見つめる。

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「それでは今からポスターを貼って発表の準備と、前半後半の説明者を決めて」
井村先生の掛け声とともに、児童たちが一斉に動き出した。
ポスターを貼る順番や位置を工夫するグループ、デモンストレーション用の画面を出すグループなど、手早く準備を進めている。
あっという間に、まっさらだったホワイトボードが発表資料で色鮮やかになった。

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CA Tech Kidsの教材開発者の松倉さんが美しく貼られたポスターの前で足を止めている。

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「この発表資料はきれいに出来ていますね。タイトルを見やすくするために背景をあえて暗くしているのが上手い。ゲームの黒い画面を2分割するのに使った紫色も効果的で、背景と同化しない。見た目をちゃんと気にして作られている。全体の色使いも上手いし、スライド1枚1枚が見やすい。大人が作ったようですね」
と、心底感心したように唸っている。

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その時、井村先生が声を張り上げた。
「ポスターの準備ができたね。それでは前半を開始するよ。説明する人は、ホワイトボードの前で準備をして。今日は大人も含めて、見学者がバラバラとやってきます。見学者が訪れる度に説明をできるようにね。それじゃあ、はじめ」
タブレットを持ちホワイトボードの前に立つ児童は、まるで企業のデモンストレーターのようだ。

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A3グループを覗いてみた。
「2人で競うゲームです。右の人と左の人、それぞれの下にいろんな色の雷があります。同じ色の雷を落とし、当てると下の雷が消え、先に全ての雷を消した方が勝ちになります。下にある雷は常に動いているので、上手く当てる必要があります」

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流暢な説明もさることながら、ポスターの色使いを褒めると、
「ありがとうございます。見た目も気にして作りました」
と頭を下げた。さらにゲームのデモンストレーションをしながら、
「右側の人は、キーボードの右側を、左側の人は左側を使います。雷は、右側の人はEnterキーで、左側の人は1のキーで打つことが出来ます。今回のテーマが2人で遊べるゲームなので、同時に遊べるよう工夫しました」
と説明してくれた。

他のグループの見学をする児童にまじって、ホワイトボードに近づくと、元気のよいC2グループの児童の声が聞こえてきた。

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「これは『幽霊から逃げろ』というゲームです。ネコがプレーヤーで、スペースキーで動きます。障害物であるジャックオランタンが時間が経つにつれて、追加されていきます。ネコがジャックオランタンにぶつかると動けなくなってしまいます。そこを幽霊に追いつかれるとアウトになります。60秒間、逃げ続けることができればクリアです。クリアすると徐々にゲームの難易度が上がっていきます」

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違うグループの児童の声も聞こえてくる。
「これはリンゴを取ると、スコアが1ポイント追加されるゲームです。矢印キーで移動、スペースキーでジャンプができます。そして最後には家に帰る仕組みです。工夫したところは、横スクロールを可能にしたところです。そして実際のカエルはそこまで高くジャンプしないので、このゲームでも高くジャンプしすぎないようカエルのジャンプを再現したところです」

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また、他のグループからは、
「ドラゴンがプレーヤーで、矢印キーで動かします。敵であるフランクが動き回っているので、そのフランクにボールを当てます。ボールを当てると、フランクのHP(持ち点)が徐々に減っていき、HPが14になると背景が変わります。フランクのHPが0になったらクリア、逆にプレーヤーであるドラゴンのHPが0になるとゲームオーバーとなります。ドラゴンのHPはフランクにぶつかると減っていきます。対戦は交互に行います」

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なぜ、フランクという名前にしたのかと尋ねると、
「ファンタジー感を出したかったので名付けました」
とほほ笑んだ。

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歩き回っていると、また違うグループの声が聞こえてきた。
「ネズミから逃げるゲームです。ボールを投げてネズミに当てるとポイントが入ります。しかしネズミがカエルに当たると動きが止まります。音楽は複数の音楽を混ぜて作りました」

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その近くで、元気の良い声が聞こえてくる。
「『グンナイちゃん登場! ぷよぷよ宇宙人を倒せスペース宇宙戦争 スペースレンジャー諸君』というタイトルのゲームです。矢印キーでドラゴンを移動させることができ、スペースキーで、ドラゴンの口からグンナイちゃんを出すことができます。しかし敵の宇宙人は0.5秒刻みで動くので、とても難しいゲーム。矢印キーを押す人とスペースキーを押す人、2人で協力しないとクリアできないゲームです」

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なるほど、2人で遊ぶのは対戦だけではない。協力して遊ぶ形もあるのだと、思わず膝を打ちたくなった。

対戦型ではない工夫をしたグループは他にもあるようで、隣で説明を聞いている児童の様子が目に入った。

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「これは難読漢字を5問全問正解すると、ゲームに挑戦できます。難読漢字は野菜と花の名前です。挑戦しますか」
聞いていた児童が頷く。ゲームに挑戦するようだ。
「秋の葵? 何これ?」
「野菜です」
頭を捻っている。

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「正解はオクラ? 読めないよ。次は向日葵(ひまわり)に紫陽花(あじさい)か、これは簡単だ」
それなりに難しい漢字だが、挑戦者の児童は、すらすら読んで入力していく。
しかし結局はゲームをプレーすることが出来なかったようだ。
説明していた児童に、なぜ難読漢字のゲームにしたのか質問すると、
「元々は計算式を解けば、ゲームを開始できるとしていたのですが、つまらないという苦情が来たため、難読漢字のクイズに変更しました」
と、話してくれた。

A4グループの対戦型ゲームは人気が高いらしく、児童が群がっている。
もはや誰が説明者か分からない状態だ。説明者を探そうとすると、見学者が1人2人と振り向いた。

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「すごいですよ、これ」
「このゲーム、本当すごかったです」
「どんなゲームかって? バトル型です」
みんな目を輝かせ、興奮しきっている。
少し前まで、自分のゲームやそれを説明する資料を一生懸命に作ってきた児童たちが、である。
本来であれば、苦労して作ったものを褒められたいと思うものだろう。
それが、純粋に他のグループの作ったゲームを楽しみ、“作り”の素晴らしさを称えている。
紛争問題に揺れる世界にありながら、他を認める児童たちの姿に2人で遊ぶゲームの本当のテーマを見た気がした。

その時、井村先生の終了の声がかかった。
「終了だよ、みんな席に戻って」
名残惜しそうに児童たちが席に戻っていく。
ホワイトボードを振り返る児童さえいる。
井村先生が、夢から覚ますように再び声をかけた。
「今は投票の時間がないけど、今日中に投票してもらうから、どこのグループが良かったか覚えておいてね。説明を聞いていて分かりやすかったグループ、資料が見やすかったグループを1つずつ選んでね」

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児童たちは、未だ興奮さめやらぬ顔で頷いている。井村先生がほほ笑みかけた。
「みんな初めての経験だったから、いろいろと大変なこともあったと思うけど、すごく頑張っていたと思います。様々な工夫をしていましたし、ゲーム自体もすごく面白いものがたくさんありました。みんなとても力がついているので、また3学期、そして6年生になってからもゲームを作っていきたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。それでは今日見学されていたCA Tech Kidsさんからコメントをお願いします」

井村先生の紹介でCA Tech Kidsの松倉さんが歩み出た。

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「今日はみなさん、お疲れさまでした。1年前にもオリジナルゲーム作りの発表を見て、今日また見て感動しました。すごいなと思ったポイントの1つ目はゲームのバリエーションが豊富になったこと。前に見学した時より、いろいろなタイプのゲームが含まれるようになったことです。2つ目はスライド(発表資料)が去年より数段分かりやすくなっていました。例えば、1つのスライドで伝えるのは大事なこと1つだけにして、右に画像を置くというルールをしっかり守っていることなど、スライドとして分かりやすいかという視点を意識して作られていました」

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プログラム以外もこんなに出来るようになっていたのだと非常に感動しました。来年も見に来られることを期待して、皆さんの成長を楽しみにしています。本日はありがとうございました」
と話し、児童たちに拍手を送った。続いて、サイバーエージェントの浮田さんが口を開いた。

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「1年前に僕も見学に来ているのですが、まずは、皆さんが1年間で大きく成長していて驚きました。皆さんのゲームの完成度が非常に高い上に、『こうしたら面白くなりそうだな』とか『こうしたら白熱しそうだな』とか『こうしたら少しずつ成長することを味わえそうだな』とかゲームをいかに楽しんで作ってきたのかが、プレゼンの資料やゲームのデモンストレーションの際の皆さんの表情から分かりました。

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僕たちも日々会社でゲームを作っているのですが、一番大事なことは自分たちが楽しんで作ること。自分たちが楽しんで作れないものが、お客さんやプレーしてくれるみんなが楽しめるはずがないと思って作っています。一番は、ゲームって面白いものである。その“面白い”を追及して作ることを今回のゲーム作りを通して経験してくれていればいいなと思っています。家でもいろいろなゲームで遊ぶと思いますが、その際に『このゲームってどういう風に作っているんだろうな』とか『こういうところが面白いな』とイメージできると、授業で活かせるかなと思います。ぜひこれからも頑張って、いろいろなものを作っていってください」
静かに聞いていた児童たちから拍手が起こった。

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授業が終わると、児童たちは晴れやかな顔でホワイトボードに貼った発表資料を片付け、次の授業へと向かっていった。

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5年梅組の発表

1時限目と2時限目の間、メディアルームに残ったCA Tech kidsの上野社長、教材開発者の松倉さん、神田さん、広報の真下さん、サイバーエージェントの浮田さん、そして井村先生が真剣に話し合っている。

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「子ども達は、もしかしたらScratchの限界にたどり着いてしまうかもしれない」
5年桜組のゲームの改造のレベルの高さを目の当たりにし、度肝を抜かれた形だ。
ゲーム制作会社で働くプロ集団の顔は真剣そのもの。
次年度のカリキュラム設計にも力が入る。
その時、
「こんにちは、お願いします」
元気の良い声がした。2時限目が始まる前、梅組の児童達がやってきたのだ。

井村先生がいつもとは違う席に着くよう、児童達に声をかける。
5年梅組の授業が始まった。

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「ホワイトボードに発表資料を貼って、その前で説明をしてね。ホワイトボードに書いてもいいし、自分のタブレットを使ってゲームを見せながら説明してもいいよ。できるだけ多く見てもらうために……」
井村先生は、5年桜組でしたのと同じ発表のルールと投票について説明する。
「今から発表資料を貼って、発表順を決めてください」
先生の号令と共に、児童たちが動き出した。

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さまざまな声が聞こえてくる。
「なんかホワイトボードに書かない?」
「こだわりポイントの前に、テーマが来た方がいいよ」

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発表資料の貼り方も一様ではない。
上から下に貼っていくのではなく、階段上に貼るなど貼り方にも工夫がある。

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その時、
「タコ描きたい」
という声が聞こえ、
「タコ?」
と思わず聞き返してしまった。すると、ホワイトボード用のマーカーを手にした児童が振り返った。
「タコはスクショ(スクリーンショット)して3Dにするなどいろいろ工夫したので」
並々ならぬこだわりを感じる。

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その時、井村先生が児童たちに声をかけた。
「発表者は見学に来た人の質問にも答えてあげてね。では前半を始めます」
井村先生の合図と同時に、発表者と見学者が入り乱れた。

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上野社長が見学しているのが目に入った。B4グループの児童がタブレットを手に懸命に説明している。
「これはフィッシュが主人公のゲームです。マウスで動かしてサメから逃げます。最初にフィッシュがルールを説明してくれます。プレーヤーの名前を入力できるので、入力してください」
上野社長が面白そうに聞き返す。
「入力するとどうなるの?」
「フィッシュが名前を呼んでくれます」
「すごいね!」
児童の顔が笑顔になった。
「スペースキーを押したらスタートします」
ゲームのデモンストレーションが始まったようだ。

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さまざまな説明する声や質問する声が飛びかっている。
「この恐竜が戦っている理由は、この星が欲しいためです。このラインを動くようにしたところがこだわりポイントです」
「これは何で落とすんだっけ?」
「スペースキーで落とします」
「雷をラッシュ(連続)で出せます」

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その時、松倉さんが鬨(かちどき)の声を上げた。どうやら実際にプレーさせてもらったらしい。興味をひかれて覗き込むと、A2グループの児童がすぐにホワイトボードの前に立った。

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「2人で遊べるゲームです。1人目がネコと雷を動かす人で、2人目がボールを動かす人です。ネコがボールに雷を落とします。雷はスペースキーで落とせます。ボールに雷が命中すると、80あるボールの命が10ずつ減っていきます。減るごとに少しずつボールが小さくなっていきます。50になったらクリア(ネコの勝ち)です。追加キーを足したことで、2人同時に遊べるようになりました。工夫した点は点数を減らすごとにボールを小さくしていくところです。プログラムを見てください。すごく複雑なんです。一押しポイントは2人で協力して戦うことも出来ることです。ルールが分かりやすいので、パッと遊べるのもポイントです」
スライド(発表資料)もプレゼンも上手で小学5年生とは思えない。

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気付くと、後半に突入していた。児童たちの動きは活発だ。
4~5人の児童が群がっているのが目についた。C4グループだ。
C4グループは作り込みの際、ドラゴンのデザインに凝っていたグループだ。

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「まず赤と緑のドラゴンがいます。赤ドラゴンは矢印キーで操作します。緑ドラゴンは『W』を押すと上、『S』を押すと下、『D』を押すと右、『A』を押すと左に動きます。赤ドラゴンは『9』を押すと雷で攻撃でき、緑ドラゴンは『1』を押すとドーナツで攻撃できます。相手の持ち点を0にした方が勝ちです」

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流暢な説明がなされた。
その近くでは、ホワイトボードの前でD2グループの児童が一生懸命に説明している。
「ネコと鳥が戦うゲームで、ネコが雷で攻撃、鳥が雲で攻撃。投げられる回数が決まっていて、投げられる回数が1以下になると雷をラッシュで出せるようになります」

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その時、井村先生が終了を告げた。
「今回初めての経験で、いろいろと失敗したり、苦労したりしたと思いますが、それがいい経験になったと思います。6年生になった時や、次に作る時のヒントになるからね。みんなすごくよく出来ていました。作る時から、みんなよく頑張っているなと思って見てきました。それでは代表して見学者の皆さんから感想をいただきたいと思います」

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CA Tech kidsの神田さんが前に出た。
「みんな、1回目の課題で5つのお題からゲームを選んだと思いますが、実は私がそのお題を作った人です」

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児童たちから感嘆の声が上がった。
「5つのお題にはそれぞれ足りていないところがあって、ゲームとしては未完成だったと思います。それを自分の好きなイラストや点数や音を追加し、さらに2人で遊べるよう改造してくれて、みんなのアイデアでもっともっと面白いゲームになっていて、すごいなと思いました」

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「去年も見たけれど、みんなの作るゲームより幅広くなっていたと思います。来年の授業も楽しみにしています。ありがとうございました」
続いて浮田さんが歩み出た。

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「いつもは実際にゲームを会社で作っています。今日見させていただいて、すごく印象に残ったのが、本当にみんな夢中でゲームを遊んでいる姿でした。みんな楽しそうで、プレゼンを忘れるほど熱中してました。こういうのが大事だなと感じました。プレゼンもすごく楽しそうでした。やはりゲームって面白いものだし、面白いものを作って、プレゼンも面白そうに行うってすごく大事なことだと、とても感心しました。今日は授業の時間が短く感じたと思いますが、夢中になれることってすごく大事なことだと思います。プログラミングもゲーム作りも、興味ある人はどんどん頑張って欲しいと思います。それではみなさん、お疲れさまでした」
拍手が沸き起こった。

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授業が終わり、ホワイトボードの資料を片付ける児童の顔には達成感に満ちた表情が浮かんでいる。

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2021年から追いかけているこの「初等部プログラミング教室」。
2人で遊ぶというと、対戦型や点数を競い合うゲームを想像していた。もちろんそういうゲームも多く見られたが、「2人で協力して遊ぶ」ゲームが梅組でも桜組でも作られていたのが印象的だった。「協力して遊ぶ」目から鱗の発想だ。CA Tech kidsの皆さんやサイバーエージェントの浮田さんが挙げた良い点や成長ポイントなど、数え上げればきりがないが、ゲームのプレゼンやデモンストレーションで、あんなにも元気よく活発に動いていた児童たちが、まとめの話になると静かに耳を傾けられるところにも驚かされた。

2時限目終了時に井村先生に声をかけると、3学期に秘密の授業を準備していることをこっそりと教えてくれた。数々の驚きを経て、成長していく児童たちからますます目が離せなくなりそうだ。

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つづく