Variety いろいろ

青山学院の四季彩-グリーンパーティーへようこそ-冬の星-前編

青山キャンパス大学17号館の角を曲がると、堂々たるヒマラヤ杉が2本、目に入った。
食欲の秋が去った今、実をつける木々の少ない悲しい季節。
お腹も懐も寂しいが、見るだけでなんとなく満たされる、木。
寝坊した朝の空腹感からか、広報部・聖(ひじり)はきらめくものを感じた。

17号館を曲がるとヒマラヤ杉が!

そうだこれしかない!!
俄然やる気になって中等部・緑信会顧問の林謙二先生に連絡を取った。

2019年11月某日――。
中等部祭も終わり、いよいよ定期試験だ!
というにはまだ少し早い、そんな小休止のような火曜日。
中等部生たちはみんななんだか楽しそうに帰っていく。

中等部の階段

微笑ましい下校風景を眺めていると、メンバーが集まってきた。
おおっ、増えている。嬉しいことにグリーンパーティーのメンバーが増えている!!
感涙にむせびそうになりながら、グリーンハント(※緑を見に行く)の説明をする――
と、みんな素直にうなずいてくれた。
突然ですが、ここでグリーンパーティーの新メンバーを紹介します。

ともみちゃん
ゆうきちゃん
あやかちゃん
りおちゃん
ゆうこちゃん
みゆちゃん
ほのかちゃん
ゆうなちゃん

目を輝かせながら見つめるみんなの前で、
「今回のグリーンハントはヒマラヤ杉とモミの木です、寝坊した朝に思いつきました。理由は、美味しそうだったからです」
とは言えず……。

いよいよクリスマスも近づいてきましたね。今日はクリスマスにちなんだ木を見に行きたいと思います。まずヒマラヤ杉ですが、ヒマラヤ杉ってどんなイメージがありますか?

あやかちゃん スギ花粉

ですよね。名前からそう思うのですが、スギ科ではなく、ヒマラヤ杉はまさかの松の仲間だそうです

あやかちゃん 松っていうと、松相撲をしたのを思い出します。こうやって、両側から引っ張るの、したことない?

りおちゃん ある! でもだいたい負けてたな

そういえば皆さんが通るのは中等部門?

ほのかちゃん わたしは、西門です

東門って人はいなさそうですね。これから、みなさんが普段使われない東門を通って学内にあるヒマラヤ杉がきれいに見えるスポットに行きたいと思います

中等部の門を出ると、途端に冷たい空気に包まれた。
アイビー通りを縫うようにはしる歩道には、校舎の塀が影を作り、いっそう寒く感じる。
季節は晩秋から一気に冷たい冬に向かおうとしている。

東門、通称・“幼稚園門”が見えてきた。
門をくぐると、花とみどりに彩られた幼稚園が左手に見える。
鮮やかな植物が幼稚園を護るようにして咲いているのを見ると
なんだかこちらまで温かくなってくるから不思議だ。

幼稚園のエントランス

遠くに見えるベリーホール近くのヒマラヤ杉を見上げた。
ここ幼稚園門から構内の中心部まではゆるやかだけど、上り坂になっている。
そのため、わずか3階建てのベリーホールも、そばに生えるヒマラヤ杉も見上げる形になる。
立ち止まると、みんなが不思議そうな顔をした。

夜6時頃、ここからヒマラヤ杉を見ると、木の枝の近くに一つだけ星が見えるんですよ。きらきらと輝いていて、すごくきれいなんですよ

2本のヒマラヤ杉の近くに見える星

ゆうこちゃん へぇー、素敵ですね

みゆちゃん 遅くなった時はここを通ろう

ヒマラヤ杉はヒマラヤ原産で高さは50メートルくらいにまでなるそうです

ともみちゃん 大きいですね

ゆうきちゃん しかも、結構たくさんありますね

ええ。学内にあるヒマラヤ杉19本のうち5本がこのベリーホール周辺に植わっています。また点火祭で飾り付けられる木はロータリーにありますが、あれもヒマラヤ杉です

青山キャンパスのクリスマス・ツリー

林先生、ヒマラヤ杉で一句お願いします

林先生 たそがれのヒマラヤ杉を聖樹とす 林謙二

季語はヒマラヤ杉ですね!

林先生 学院のクリスマス・ツリーであるヒマラヤ杉も季語ではありません。季語は「聖樹」。クリスマス・ツリーのことですが、そのままでは音数も長く、俳句に読みにくいこともあり、「聖樹」と3音の語に直します

なるほど、勉強になります! お腹も空いてきましたので、聖がヒマラヤ杉にかじりつく前に、モミの木を見に行ってみましょう!

(後編に続く)